カップル御用達「ラブパーキング」、営業拡大で3年目へ 「警察来たけど何も言われず」70代男女管理人の余裕、弟子入り志願も
命名したのは女性だ。 「ハートとPでしょ。駐車場(P)で仲良くしよっかという感じ。愛し合えばいいね」 SNSで話題になってから、たくさんの「冷やかし」「見学」がやって来たが、最近は落ち着いたもので、どうやら常連さんもいるらしい。 約1時間の取材中、2台の車がラブPに入ってきた。「どっちかしら。見学かも。あら、入ったわ」(女性)。 1台は20代のカップルと見られる男女。後から来た1台は50~60代のスマートな見た目の男性と助手席の女性。女性は40~50代に見える。 2組とも男性がポストにお金を入れて、駐車場に戻り、ブルーシートを閉めた。太陽はまだ明るい。 利用台数は1日に1~2台くらいで、1カ月にしても売り上げは3万円に過ぎないそうだ。 「山の土地は固定資産税がほぼかからない。地目としては農地扱いです。必要なのはブルーシートとフレームだけど、フレームは自分の山から切ってきた竹。無料です」(男性) とはいえ、駐車場や管理人室には電気も引いており、そもそも男性が寝泊まりしている管理人室(コンテナ)は50万円したという。人件費を無視すれば、2年間でようやく初期投資を回収できる計算だ。
●「弟子入り」志願の若者が山形から熊本へ
山から絶え間なく落ちてくる葉っぱの掃除や、お金の回収などの手間を考えれば、「商売として儲からないから、金稼ぎとしては全然おすすめできません。飯は食えないね」と苦笑する。 「これをやりたいと思う人はたくさんいる。でも、少し考えて儲からないと判断してやめる。こういう形態の駐車場は日本では初めてのようですよね」(男性) あえて「やる」判断に舵を切った酔狂なラブPのノウハウを求めて、無駄に遊ばせている土地の活用のヒントになるのではないかと現地を訪れる人がいるそうだ。 「最近も山形から20代の若者が来て、自分でやってみたいから是非教えてほしいと頭を下げられた。でも、私たちは年金をもらっているし、生活手段は別にあります。おじいちゃんとおばあちゃんの小遣い稼ぎで、ラブPだけで食べるのは難しいと伝えました」(男性) 利用したタクシーの女性運転手から「こういう場所がないから助かります」と感謝されたこともあったそうだ。何が求められるのかはわからない。