シェアキッチンで夢への一歩を 曜日ごと別の店主利用、福島・飯坂に飲食施設
福島県福島市の飯坂温泉に、曜日や昼、夜の部ごとに別の「店主」に利用してもらう「シェアキッチン」が7日、プレオープンする。規格外野菜の活用を模索してきた代表の坪井有佳子さん(46)=同市=が、飯坂温泉駅から徒歩1分という好立地の元喫茶店を客席付きのシェアキッチンに改修した。坪井さんは「カフェや飲食店の開店を志す人の『やってみたい!』をかなえる場所にする。フードロス削減や飯坂温泉の活性化にも貢献したい」と広がりに期待する。 同じ調理機器を何人かで利用し、料理などを提供するシェアキッチン。通常、開店には物件取得や機器の整備など多額の初期費用がかかり、保健所の許可申請も必要なため高い壁になりがちだ。シェアキッチンはその課題を解決でき、少しずつ全国に増えている。 坪井さんは東京都のシステム会社に約15年間勤務した後、Uターンし、金融機関でシステムエンジニアの仕事をしている。都内の会社の同僚が国見町に移住し、新規就農したことをきっかけに規格外野菜の存在と実情を知った。おととしに開かれた女性起業セミナーで出会った菊田宏美さん(53)=福島市=らと開催する不定期のカフェで規格外野菜を使ったメニューを提供してきた。不定期のカフェの出店で場所が容易には見つからず、間借りでは必要な設備や調理スペースが十分でなかった苦労もあり、一念発起して副業の形でシェアキッチンを開店する道にたどり着いた。菊田さんも立ち上げに協力した。 「シェアキッチンHakuba(はくば)」の店名は、喫茶店などで営業していた前身の「白馬」から取った。店舗は駅から飯坂のシンボル・十綱橋を渡った正面の2階にある。ガスオーブンや冷凍冷蔵庫、シンクなどを入れたほか、菓子製造スペースも新設した。店主は会員制とし、プレオープン初日は坪井さんや菊田さん、事前に募った会員を含む5グループの料理を一皿にまとめたランチプレートを提供する。サラダには規格外野菜などを使う。価格は1500円。営業時間は午前10時~午後4時。来年3月中の本格オープンまで、今後はカフェやランチ、居酒屋、夜喫茶などを営業する。会員は専用フォームなどから申し込みを受け付ける。 坪井さんは「コンセプトは規格外野菜を救うシェアキッチン。会員も増え、求められていた場所だということが分かった。ここで自信を付け、開店にこぎ着ける人が出てくれたらうれしい」と話している。(伊藤俊憲)
福島民友新聞