外装破損で捨てられる贈答品 日本財団とヤマトが子どもに無償で贈与
まもなくお歳暮シーズン。全国各地で年末のあいさつが交わされる陰で、品質に問題はないのに、箱のわずかなへこみや汚れを理由に捨てられる商品も。「もったいない」をなくすため、子どもたちに贈る動きも出ている。 【写真】贈答品のお菓子に喜ぶ子どもたち=2024年11月18日午後4時1分、さいたま市、杜宇萱撮影 「おやつを食べたい人は手を洗ってください。きょうは特別メニューです」 11月中旬の午後、NPO法人「さいたまユースサポートネット」(さいたま市見沼区)が拠点とする建物の一室で、プロジェクトマネジャーの武原忠志さん(69)が呼びかけた。 その場にいた小学生約20人に配られたのは、高級チョコレートブランドの焼き菓子。1年の男児(7)は「初めて食べた。もっと食べたい」。 ■高級焼き菓子、青森産果汁100%リンゴジュース… 同法人には今年度から週1回、こうしたお菓子などが届くようになった。どれも一流ホテルのプチケーキや果汁100%の青森県産リンゴジュースといった、高額なものばかり。代金は送料も含めて無料だ。 武原さんは「子どもたちの舌が肥え過ぎるのも困る」と笑いつつ、「予算が限られる中、とてもありがたい」。スタッフの森本千世さん(42)は「(物流が増える)お中元の時は届く品がいつもより多かった。お歳暮シーズンも増えると思う」と言う。 同法人は2021年度から週3回、放課後の居場所に困った児童たちに遊び場を提供している。日本財団(東京都港区)が全国の子ども支援団体に助成し、それぞれの拠点などで展開する「子ども第三の居場所」事業の一環で始まったもので、このお菓子の「プレゼント」も財団のプロジェクトだ。 プロジェクトは運送大手のヤマト運輸(東京都中央区)と共同で実施。財団によると、今年5月から本格運用し、10月時点で「第三の居場所」など全国158施設に食料品や日用品を送り届けている。 届けられるのは、運送の過程で外装に傷や汚れがつき、廃棄される予定だったもの。百貨店の贈答品なども含まれ、品質には問題がないため、「もったいない」として、子どもたちに寄贈することにしたという。
朝日新聞社