センバツ高校野球 中央学院、歴史動かす 「青」旋風、大差で初勝利 /千葉
第96回選抜高校野球大会第3日の20日、中央学院は1回戦で耐久(和歌山)に7―1で快勝し、春夏通算3回目の甲子園で初勝利を飾った。初回に先制点を挙げると、六、七回にも3点ずつ追加点を奪い、耐久を突き放した。チームの歴史を塗り替えた選手たちの活躍にアルプス席は喜びに沸き立った。2回戦は大会第7日の第3試合(24日午後2時開始予定)で、宇治山田商(三重)と東海大福岡(福岡)の勝者と対決する。【林帆南、中田博維、高橋努】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 中央学院は初回から見せ場を作った。水嶋悠(3年)の右前安打で2死一、三塁の好機を作ると、打席に立ったのは勝負強い颯佐心汰(さっさここた)(同)。「まずは先制点を取る」。明言したとおり、2球目のスライダーをとらえ、左前に放り込んで1点を先取した。 「大きな舞台でもちゃんと打てる。さすが」。妹の好夏(こなつ)さん(15)は声を弾ませた。チームカラーの「青」で染まったスタンドはチームの応援曲「シダックスファイヤー」が鳴り響いた。だが二回以降は攻めあぐねた。 流れが変わったのは六回。「闘争心を出して自分たちの野球をしよう」。五回が終わった後、相馬幸樹監督や福嶋翔平部長がかけた言葉に選手たちが発奮した。1死一、二塁の好機で青木勝吾(同)が左越え適時三塁打。これに水嶋が続き、六、七回に3点ずつ大きな追加点を奪った。「打撃に苦手意識を持っていた」という青木の母能子さんは「良かった。またチャンスで打てるように頑張ってほしい」と胸をなでおろした。 投げては、遊撃を守っていた颯佐が無失点に抑えた先発・臼井夕馬(同)を継投。変化球を交えた気迫のこもった投球で1失点に抑えた。応援団長の手倉森蕾音(れお)(同)は「テンポが良い。この流れが攻撃につながっている」と投手として一緒に練習に励んできた仲間の活躍を喜んだ。 悲願の初勝利に、この春に卒業した元野球部員で応援団長だった森遥輝さん(18)は「涙が出そう」と声を震わせ、快挙をたたえた。 ◇地元PV大盛況 ○…中央学院の地元・我孫子市では、市が休日の買い物客でにぎわう「あびこショッピングプラザ」(同市我孫子4)に大型モニターを持ち込み、パブリックビューイング(PV)を開催=写真。詰め掛けた市民が声援を送った。折り畳み椅子52脚が設置されたが、試合開始時には満席となり、立ち見も出る大盛況。試合終盤に追加点を挙げて中央学院の甲子園初勝利が決まると、熱烈な拍手と歓声が湧き上がった。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇涙の決意、大舞台で実り 中央学院・臼井夕馬投手(3年) 昨秋の公式戦では力を出し切れず苦しんだ横手投げが、大舞台で5回無失点の好投で勝利を引き寄せた。「気持ちの部分で成長できた」と手応えを語った。 先発を任された県大会決勝で連続安打を浴びるなどし、三回途中で降板。試合中にベンチで一人涙を流した。そのとき「心を強くしたい」と決意した。 独自のウオーミングアップメニューを作って自分のルーティンを確立。制球力を高めようと、投球フオームも修正した。こうして迎えた甲子園。この日朝、先発を告げられても不安はなかった。むしろ「ワクワクしていた」。 立ち上がりに二塁打を浴び、無死一、二塁の場面でも捕手の飯山成夢(3年)が走者を刺した。「相手に流れがいきそうな場面も仲間がアウトにしてくれる。そこで強気になれた」と感謝した。 「無失点に抑え、チームに流れを持っていくことが自分の役目」。上々の滑り出しで自信をつけた右腕は次戦を見据えた。【林帆南】