「電車の中でウトウトしているビジネスパーソンを見ると……」Travis Japan・川島如恵留がどんなに忙しくても文をつづり、学習し続ける深い理由
同時通訳者として、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、ダライ・ラマ、オードリー・タンなど世界のトップリーダーと至近距離で仕事をしてきた田中慶子さん。「多様性とコミュニケーション」や「生きた英語」を主軸に、さまざまな業界のプロフェッショナルの仕事の流儀を紹介していきます。今回は、先日、初のワールドツアーがニューヨーク公演で幕を閉じたばかりの男性アイドルグループ、「Travis Japan」のメンバーとして多方面で活躍する川島如恵留さんと対談。「文章を書くこと」の効用、個々と組織の関係、組織での個人の立ち位置をどうつくるか、俯瞰(ふかん)と内省(ないせい)、資格取得や学習を続ける深い理由など、ビジネスパーソンにも示唆深い話題が展開されました。(文/奥田由意、編集/ダイヤモンド社 編集委員 長谷川幸光、ヘアメイク/花井菜緒〈JOUER〉、撮影/堀 哲平) 【この記事の画像を見る】 ● 目標さえ立ててしまえば ルートもおのずと見えてくる 田中慶子(以下、田中) 川島さんのエッセイ、早速拝読しました。川島さんが日常で感じていること、川島さんの深い思考や頭の整理法、そしてポジティブさ、それらの過程が明確に文章化されていました。 人としてのありかたや、普段、どれだけ努力されているのかも伝わってきて、見習おうという気持ちになりました。 もともと、文章を書くことがお好きなのですか? 川島如恵留(以下、川島) ありがとうございます。以前から書くことは好きでした。ブログは毎日書いていますし、ときには1万字ぐらい書くこともあります。 田中 エッセイは描き下ろしですよね。Travis Japanのワールドツアーもあったりとかなりご多忙の中、このタイミングで本を書きたいと思った理由は何でしょうか? 川島 多くの人は「芸能人は遠い存在だ」と思っているかもしれません。でも、「仕事」という意味では皆さんと同じように働き、同じように毎日、一生懸命です。僕も、どれだけ輝いて見せられるかを意識し、テレビなどの画面というフィルターを通してそのような自分を届けることを、常に意識して努力しています。 そのように仕事の内容は違っても、「プロ意識を持って努力する」という根本は、芸能人だろうと何だろうと、誰もが同じはずです。 本にはそうしたことを書いていますし、「自分には取りえがない」と思い込んでいたり、「何だかやる気が湧かないな」と感じていたりする人に読んでいただけると、ふつふつとモチベーションが湧いてくるのではないかと思います。 本というのは、大勢の人のお力を借りなければつくることはできません。30歳になるという節目のタイミングであれば、協力してくださる方々に声をかけやすい。それで、29歳の誕生日に「30歳になるまでに絶対に刊行にこぎつけるぞ」と覚悟を決めました。 実際に執筆に着手したのは今年の4月からでしたが、何とか書き上げることができ、ホッとしています。 田中 目標を定めてから、ルートを決めていったわけですね。 川島 やりたいことが不明瞭ですと、ルートも決まりません。ゴールがあれば、ルートもおのずと見えてきます。最短ルートでゴールにたどり着ければ、それに越したことはありません。 ですから、夢を持ち、必ず目標を立てています。 田中 毎日、思考や感情を日記に書き出していると、エッセイに書かれていました。 川島 仕事でも日常でも、目標に向かって動いている中で、イヤなことや受け入れがたいことというのは必ず発生しますよね。 これを放置していると、目標に向けて邁進(まいしん)していても、頭の中がその「ノイズ」に邪魔されてしまう。でも、PC内のデータを外付けハードディスクへ移すように、文章に書き出すことで、イヤなことは全部、頭の中から消えてくれるんです。 田中 私は、通訳のお仕事のほかに、コーチングのお仕事もさせていただいていて、経営者からの依頼もあります。そうした方たちのコーチングをしていると、「ノイズ」に気を取られてしまっていて、もっと高い次元の目的や、本来の目標を忘れてしまっているようなケースに遭遇することも多いんです。