まもなく猛暑予想の夏がやって来る!人気米コシヒカリの受難と農家の暑さ対策
ランキングで苦戦
東京にある一般財団法人・日本穀物検定協会が、毎年「おいしいコメ」を判定するランキングがある。コシヒカリが受けた暑さの影響は、そこにはっきりと表れた。ランキングは、米を「外観」「香り」「味」「粘り」「硬さ」そして「総合評価」の6項目で評価する。2023年のランキングで、新潟はじめ日本海側にある県で、特Aランクから"格下げ"となった品種は13もあり、特に新潟の「コシヒカリ」は、6つある地区の内、特Aは"魚沼産"だけとなってしまった。ひとつの銘柄だけになってしまったのは1994年(平成6年)以来、実に30年ぶりだそうだ。ランキング2等以下の米は、そのまま炊いて食べるのではなく、安い「加工用」に回される。品質の低下は農家を直撃する。新潟県の試算によると、県全体の農家の収入が8%減少するという、大きな打撃を受けた。
暑さに強い米への転身
そこで、暑さに強い品種への切り替えが始まった。暑さに弱いコシヒカリから"高温や渇水の影響が少ない品種"である「新之助」などへ栽培を切り替える。こうした農家に対して、新潟県も予算的な支援を打ち出した。ただ、コシヒカリに比べて、稲の穂が出る時期が遅いため、田んぼの水のコントロールが課題となる。それにはひとつの田んぼだけでなく、地域全体で取り組まねばならない。こうした暑さに強い米への切り替えは、新潟県だけではなく他の県でも進められている。
富山県「富富富」の挑戦
富山県では、2022年産コシヒカリの作付面積が全体の7割以上だった。しかし「コシヒカリだけではダメだ」と作付面積を5%ほど減らして、県が独自に開発したブランド米「富富富」(ふふふ)を増やしている。27度以上の気温に稲穂が長くさらされると、米の粒が白く濁る米と違い、気温30度まで耐えられるという。富山県が、15年もの歳月をかけて作った新しい品種「富富富」。2024年度は初めて、生産量が1万トンを超える見通しだそうだ。 気象庁では、2024年の夏も全国的に気温は高めという予報を発表した。今やそんな「猛暑」という言葉も当たり前になってしまったが、米にとっては"当たり前"とだけ言ってもいられない。暑い夏はもうそこまで来ている。地球温暖化によって、ニッポンの主食である「米」も、大きな曲がり角を迎え、米農家の熱い取り組みが続く。 【東西南北論説風(502) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 (参考)一般財団法人「日本穀物検定協会」公式ホームページ
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