「終わってみれば簡単でしょう」 税理士の言葉に安堵 「相続税の支払い」で勘違いしていたこと 【50代女性記者体験記】
年末年始は、両親や兄弟姉妹とゆっくり話せる絶好の機会。将来の相続について話すという人も多いのでは。「相続は経験してはじめて知ることがいっぱいあった」と語るのは、本誌の女性記者(50代)。最初は誰に何を頼めばいいのかまったくわからなかったと言う。いざというときに困らないために、相続体験記「損をしない相続」の前編。 一生お宝になるかも!?【大型の高配当株30銘柄】はこちら! ことし父が亡くなった。「相続の開始があった(被相続人が死亡した)ことを知った日の翌日から10カ月以内」に、相続税の申告をする必要がある。書類の提出も含め何から始めていいのかまったくわからなかたので、まずは役所に相談しようと、両親の住まいのある市役所の「お悔やみコーナー」に行った。続いて、市役所が窓口になっている弁護士の無料相談で不動産相続の注意点なども聞いた。 ■ほぼ毎晩夢に その後、地元の不動産会社に足を運んだ。相続に詳しい担当者が無料で相続勉強会を行っている。アポなしで訪問したのにかかわらず実家の登記簿と路線価を元にした土地の評価方法やこれからすべきことなどを丁寧に教えてくれた。父が残してくれた資産のボリュームは不動産が圧倒的に大きかったので、この時点で相続財産と相続税がどの程度になるかを知ることができたのは助かった。 この時期はほぼ毎晩夢に相続に関連する人や場所が出てきた。困ったときやわからないことがあれば父に相談していつも助けてもらった。相続の手続きに父がいないことがもどかしかった。
相続の手続きで最も大切だと感じたのは、「相続人の確定」「遺産分割協議書の作成」「相続税の申告と納付(入金)」の3つ。いずれも司法書士や税理士に頼めばかなり負担は軽減する。 「相続人の確定」については、姉と冗談交じりに「今は還暦くらいになった隠し子がいたりして」と話していた。司法書士が取り寄せてくれた原戸籍に目を通すときは内心ドキドキだったが、隠し子はおらず問題なかった(めでたし、めでたし)。相続人は母と姉と私の3人。遺産分割協議が始まった。 信託銀行に相談に行った。「揉めたくない」という共通意識はあったものの、姉とは互いに違う人生を送ってきた。これまでも介護に対する考えも違っていたし、両親との距離感もまったく違っていた。相続で意見が一致するとは考えづらかった。そこで私から提案した。「多少のお金はかかるけれど、信託銀行に全部依頼しない?」。姉は快諾し、2人で信託銀行に何度か足を運んで遺産分割の相談をすることになった。 ■冷静に話が進む 信託銀行の担当者は丁寧な物腰で、私たちの意向をくんだ遺産分割の試算を何度もしてくれた。信託銀行での相続相談というのは初めてだったが、この時思ったのは、「相続というものは当事者以外の誰かが入ることによって、たとえ熱を帯びそうになっても冷静に話が進むのだな」ということ。 多くの事例に対応してきたプロフェッショナル集団。優秀な行員揃いだった。しかし、依頼した場合の遺産整理業務費用の高さにひるんでしまい、契約せずにやめてしまった。税理士や司法書士への費用が別料金というのも途中でわかった。すごく申し訳ないことをしたと反省している。