中学受験で圧倒的存在の「サピックス」はどんな塾? 2024年入試総評と合格に向けた指導方針をレポート
3月13日、神奈川県民ホールでサピックスの「2024年度 首都圏 中学入試分析会」が行われた。筑駒や開成、桜蔭といった最難関校の合格者数で圧倒的な数字を出しているサピックスの入試分析会ということもあり、小ホールはほぼ満席だった。基本的にサピックス生の保護者に向けたイベントである。中学受験のトップ塾、サピックスの分析会ではどのようなことが語られたのだろうか。 【グラフ】主要塾の筑波大学附属駒場中学校の合格者推移を見てみる
早めに合格校を確保しようという動き
まず総括として小学部教務本部長の西川敦先生が登壇し、2024年度入試の受験生の動向と来年度以降の受験に向けての展望を解説した。 受験率が上昇、男女ともに「安全志向」が目立つ 全国的に少子化が進んでいるが、首都圏においてはその減少は緩やか。2月1日午前の受験者数を、首都圏1都3県の公立小学校6年生の在籍者数で割って求めた「受験率」は少しずつ上昇してきており、今年度は昨年度よりも0.26ポイント高い18.12%だった。今後も、当面の間は首都圏の中学入試は厳しい状況が続くことになる。こうした状況を受けて、今年度は男女ともに「安全志向」が目立った。 男女ともに共通していたのは「早めの日程で合格校を確保しようとする動き」。1月入試や2月1日・2日の午後入試などを活用して、合格校を早めに確保する動きが顕著だった。 サピックス生の今年度の平均受験校数は6.0校で、昨年度よりも0.2校増加した。これは1月中の平均受験校数が増加したことによる。また、2月中の午後入試の平均受験校数は昨年度と変わらず0.9校で、これらのデータからも先ほど述べたような受験生の動きが読み取れる。 男子では「チャレンジ層」の回避、女子では第一志望校の多様化が見られる 男子については、人気校の中で難化が予想された学校がいくつかあり、そうした学校で「チャレンジ層」の回避が目立った。具体的には駒場東邦と早稲田で、もともと人気の高い両校だが、昨年度のサピックスの公開模試「学校別サピックスオープン」では、その前年度に比べて15~25%ほど両校の受験者数が増えた。しかし、実際の入試の志願者数は、昨年度より3~5%程度の増加にとどまった。これは、模擬試験の段階で人気上昇が明らかであったため、難化を警戒して、「チャレンジ層」が回避した結果と考えられる。 筑駒は今年度から学区域が拡大され、より多くの地域から受験できるようになったが、実際の入試の志願者数は昨年度より5.3%の増加にとどまった。学区域が広がった分に応じて増えたという印象。「学校別サピックスオープン」の段階から受験者数はさほど増えていなかったため、志願者数としては予想通りの結果だった。 一方の女子については、近年、上位層が第一志望校に選ぶ学校の多様化が進んでいる。そうした状況の中、今年度も桜蔭、女子学院、雙葉のいわゆる「女子御三家」の人気は根強かった。伝統校の普遍的な教育方針に魅力を感じている方が依然として多く、それが御三家の変わらぬ人気につながっていると感じている。 なお、2026年度入試においては2月1日が日曜日になる。ミッション系の学校は、日曜日に試験をすることを避ける傾向にあるため、2月1日が日曜日だった前回の2015年度入試では、女子学院や立教女学院などが試験日を別の日に移動させた。入試日程の変更や受験生の動向変化に注意してほしい。 来年度以降の受験に向けて、志望校選びはできる限り子どもと一緒に学校に足を運び、子どもに合う学校を見つけてほしい。子どもの「この学校に行きたい」という気持ちを大切にしてほしい。 中学入試の出題レベルは長いスパンで見ると難化している。自分で考える、自分で表現することが高いレベルで求められている。子どもと接する際は、サポート役に徹することが成功の秘訣。 伸びる生徒は、「志」に向かって「ひたむき」に努力する生徒。また、授業への参加度が高い生徒。サピックスは生徒がたくさん考え、たくさん書いてもらうという、生徒が主役の塾。サピックスは授業を大切にし、授業を通して生徒をたくましく育てていくこと約束するとのことだ。