イエレン財務長官、新たな対中関税は米物価の大幅上昇につながらず
(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は14日、中国製品に対する新たな関税について、米国消費者の負担を増やすことなく、米国の企業と労働者を守るものだとの考えを示した。
イエレン氏は「米国消費者が直面する物価が大幅に上昇するとは思わない」とPBSニュースアワーのインタビューで語った。
バイデン政権は同日、中国製品について輸入関税率の引き上げを発表。先に引き上げ方針が伝えられた鉄鋼やアルミニウム、電気自動車(EV)に加え、半導体やバッテリー、太陽電池、重要鉱物など対象は広範囲にわたる。ホワイトハウスは、現時点で年間約180億ドル(約2兆8100億円)相当の輸入品に影響が見込まれるとしている。
バイデン氏、関税引き上げは「ずる賢い」中国から国を守るためと説明
関税は一般的に消費者に対する税金とエコノミストは捉える。イエレン氏は、トランプ前大統領の下で課された関税の一部について、米国の消費者や企業にとって害の方が大きかったとの立場を取ってきた。バイデン政権はこの日の発表で、トランプ政権時代の関税の削減や撤廃を行ってはいない。
ただ今回については、イエレン氏は米経済にとって重要なセクターの発展を保護し、企業のサプライチェーンをより安全なものにし、長期的には企業が生産する製品の価格を下げることにつながると主張した。
「中国がこうした戦略的分野で大規模な過剰生産能力を展開する際に発生するようなダンピング(不当廉売)から、米労働者と企業を守ることは非常に重要だ」と指摘。中国が米国よりはるかに安く生産しているEVについては、「米企業がEV生産の経験を重ねる」につれいずれ価格は下がるとの見方を示した。
中国当局は、今回の米国の動きに対し「断固たる措置」を講じると表明。ただ、具体的な内容には触れていない。
中国、「断固たる措置講じる」と表明-米政権による関税引き上げ受け
イエレン氏は、中国側が「理性的」に反応することを望むとし、「米国は中国と貿易・投資で深い関係にある。その多くは両国にとって有益なもので、問題や議論を招くものではないと考えている」と話した。