リーフレタス 出荷量20年で5割増 食感良くサラダ消費拡大
サラダ消費の増加を追い風に、リーフ(非結球)レタスの出荷量は20年で5割伸びている。色や食感の種類が豊富で、簡便性が人気の袋入りサラダなどの商材で重宝される。産地は安定供給や農業生産工程管理(GAP)などのニーズに応え、実需者の信頼を獲得。所得を確保しやすい契約取引に注力する。 【データで見る】サラダ支出額とリーフレタス出荷量
契約取引主体に
生産、消費ともに年々増加。農水省によると、2022年の出荷量は7万1900トンと10年で31%、20年で53%増えた。 増産を後押しするのがサラダ消費だ。総務省の「家計調査」によると、1世帯当たりのサラダ支出額(2人以上の世帯)が22年は5895円と、10年で73%も増加。 ファミリーマートは、結球レタスに、リーフ系のサニーレタスやグリーンリーフを使った「レタスミックス」(1袋78グラム)を周年販売する。「しゃきっとした食感の良さ、みずみずしさがあり、ドレッシングが引き立つ」と、リーフレタスの魅力を語る。 JAグループとの商品企画も手がけ、昨年から群馬県のJA利根沼田産を使った「レタスミックス」を期間限定で発売。今年は8月5日ごろまでの約2カ月半販売する。 同JAは28ヘクタールでリーフレタスを生産し、5~10月に出荷する。8割は実需者との契約取引で、週間やシーズンを通した固定価格など、相手に応じさまざまな形態を取る。 生産者の多くがJGAPを取得し、グローバルGAPも目指す。鈴木伸一指導販売部長は「契約取引を主体にして生産者の安定した所得を確保し、大手のスーパーや外食を中心としたGAP取得ニーズにも応えていく」と戦略を語る。
植物工場生産も
加工・業務用に加え、スーパーの青果売り場での販売も堅調だ。イトーヨーカ堂によると、リーフレタスの売り上げは前年比1、2割増。青果部の堀岡広昭マーチャンダイザーは「柔らかくえぐ味が少なく、世代を問わず人気。近年は特売の数が一段と増え、売り上げも伸びやすい」と話す。 注目が、昨夏発売した根付き商品「4種のリーフレタス」だ。夏は高温に強い品種など彩りや食感が違う4種類を季節で使い分け、1株にする。「好きな時に好きな量を摘みたてで味わえ、家庭で収穫体験できる楽しさも受けている」(同) リーフレタスは、同商品のように環境制御ハウスや植物工場での生産が伸びそうだ。矢野経済研究所は、完全人工光型植物工場の運営市場規模が28年度は240億円と、23年度比で14%増えると予測。「供給量と品質が一定な工場産の需要は業務用・小売り用とも拡大傾向にある」とみており、露地産地との競合が激しくなる可能性がある。(橋本陽平)
日本農業新聞