創業来の大ピンチ?フォルクスワーゲン「大幅減益」の理由、足を引っ張る…意外な原因
来年のドイツGDPも「ゼロ確定」? 逃げ出す企業続出のワケ
ドイツ商工会議所(DIHK)が、ドイツ国内全業種の約2万5000社を対象に実施した最新の経済調査『ドイツ経済、手応えを失う』(2024年10月)を発表した。その中で、次のようなことが調査結果としてあった。 ・<エネルギーコストの高騰は、ドイツ企業の競争力を著しく低下させている。特に「メイド・イン・ジャーマニー」製品の価格が上昇したため、輸出市場での競争力が削がれている> <エネルギーコスト削減のため、多くの企業が生産効率の向上や省エネ技術の導入、または生産拠点の移転などの対策を講じている。しかし、これらの取り組みにも限界があり、短期的にはエネルギー価格の上昇分を吸収しきれない状況にある> <企業の多くはエネルギー価格が以前の水準に戻ることを期待していない。これにより、企業はエネルギー価格の高止まりを前提にした長期的なビジネス戦略を再考する必要に迫られている> (出典:『ドイツ経済、手応えを失う』(2024年10月)) この調査発表に際し、DIHKは「来年度のGDPゼロ成長になる」という予測とともに「ドイツ経済は行き場を失いつつある」と警告を発した。 反原発政党「緑の党」が長く政権与党に入り続けているドイツは、世界トップクラスの再生可能エネルギー推進国家と言って良い。 バーデン=ヴュルテンベルク太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)によれば、2024年上半期の全ドイツの発電量の60%近くが再生可能エネルギーだったという。そのうち、風力発電が24%、太陽光発電が14%、バイオマスが9%、水力発電と洋上風力発電がそれぞれ5%を占めている。 これまでドイツの再生可能エネルギーは、事業者への買取価格保証(20年)によって拡大が続いてきた。国が20年間の買取を保証することで、事業者は銀行から有利な融資を受けることができた(最近では、この買取保証をやめようという動きもある)。 しかし、こうした原発から再生可能エネルギーへの大転換を経て、ドイツの発電コストはフランスの2倍、アメリカや中国の3倍になっている(ドイツでは太陽光発電機器の生産がほとんど行われておらず、中国からの輸入に大きく依存しているが、それはまた別の問題であるため今回は横に置く)。 この高い発電コストによって、特にエネルギー価格の高騰は、グローバル市場で競争力を確保する上で大きな障害となっており、コストを削減するためにドイツ企業は国内の工場を閉鎖し、国外へ移転する動きが加速している。