伊勢路3位の青山学院大学は、箱根駅伝に向け同じ流れを再現できるか 原晋監督「区間と距離が伸びて良くはなっている」
黒田朝日が区間新記録をマーク
襷を受けた3区の折田壮太(1年、須磨学園)は、学生3大駅伝のデビュー戦。5000mで高校歴代2位の13分28秒78というベストタイムを持つ期待のルーキーだ。この日は、淡々とした走りで創価大を徐々に引き離して前半で単独走に入り、区間5位の危なげない走りで4区の黒田朝日(3年、玉野光南)につないだ。 黒田は5月の関東インカレ男子2部10000mで27分52秒02をマークし、青山学院大の選手としては初めての27分台ランナーとなった。この日も、ハイペースでタイムを刻み続け、2020年の東海大学・石原翔太郎(現・SGホールディングス)が打ち立てた区間記録を13秒上回る33分03秒をマーク。この時点で、2位の城西大学には1分16秒差をつけ、ライバルの國學院大には1分27秒、駒澤大に2分25秒のリードをつくった。
太田蒼生と國學院大・平林清澄が激しい攻防
しかし、ここから徐々に後続の影が近づき始める。5区の田中悠登(4年、敦賀気比)は、区間4位の36分21秒で襷をつないだが、國學院大に41秒差まで詰められる。6区の白石光星(4年、東北)も、トップは守ったものの、國學院大・山本歩夢(4年、自由ケ丘)が区間新のタイムで迫り、第6中継所で4秒差にまでタイム差を縮められた。 前半とは打って変わって緊迫した展開になった7区には、青山学院大のエース・太田蒼生(4年、大牟田)が登場した。今年の箱根駅伝3区で日本人選手として初めて1時間を切って優勝に貢献。関東インカレ男子2部ハーフマラソンでも、日本人トップの2位に入った。國學院大の平林清澄(4年、美方)とのエース対決は、終盤に激しい攻防が繰り広げられた。15km手前で平林に追いつかれた太田だったが、16km過ぎにトレードマークのサングラスを額に上げ、苦悶(くもん)の表情を浮かべながらペースアップ。徐々に平林を突き放し、第7中継所に駆け込んだ。
「一丸となって、より上を目指す」
勝負の行方はアンカーの塩出翔太(3年、世羅)と國學院大の上原琉翔(3年、北山)にゆだねられた。2人は並走を続けたが、9.5kmでの上原のペースアップに塩出がついて行けず、その差は徐々に広がった。終盤では、駒澤大の山川拓馬(3年、上伊那農業)にも追い抜かれ、塩出は3位でゴールした。 レース後、原監督は「勝てるかなと思った場面が2カ所あり、出雲よりは力強さが出てきたかなと感じた。少しずつ区間と距離が伸びて良くはなっているなと思います」と振り返った。今回は8区間中、5区間に4年生が出走。「4年生が最後に力負けしないように、今から何するかというと、魔法をかけられるわけじゃありません。チームをまとめ、自分をちゃんと律し、当たり前のことを当たり前のようにやっていくのが学生スポーツ。必ず彼らはやってくれると思います」と期待を込めた。 7区を走った太田は「チームとして優勝できなかったのは、僕が走り終わった時点で1分差をつけて襷を渡せなかったというのが原因。僕も含めて4年生全体の走りが、もうちょっと足りなかった。箱根は優勝したいので、ここから切り替えてチーム一丸となって、より上を目指して合わせていくしかない」と語った。 青山学院大は、昨年も出雲駅伝、全日本大学駅伝の二つのタイトルを駒澤大に奪われながら、箱根駅伝では圧倒的な走りで総合優勝を果たした。同じ流れを再現できるのか、その答えが分かるのは2カ月後だ。
第56回全日本大学駅伝
11月3日@愛知・熱田神宮西門前~三重・伊勢神宮内宮宇治橋前の8区間106.8km 優勝 國學院大學 5時間09分56秒 2位 駒澤大学 5時間10分24秒 3位 青山学院大学 5時間10分41秒 4位 創価大学 5時間13分17秒 5位 早稲田大学 5時間14分24秒 6位 城西大学 5時間14分57秒 7位 立教大学 5時間16分21秒 8位 帝京大学 5時間16分24秒 ーーーーーーーーーー 9位 東京国際大学 5時間17分46秒 10位 日本体育大学 5時間17分52秒
松崎敏朗