JR西日本「はなあかり」・近鉄「8A系」…関西の鉄道、相次ぎ新車両
JR西日本や近鉄グループホールディングス(GHD)、阪急電鉄といった関西の鉄道各社が相次いで新車両を投入している。JR西は観光列車「はなあかり」を投入し、近鉄は新型一般車両と2025年大阪・関西万博パビリオンのラッピング電車の運行を始めた。阪急は同社初の座席指定サービスがある特急型車両を導入した。インバウンド(訪日外国人)増加や万博を控えた状況でサービス向上を図り、乗客増や地域活性化につなげる。(大阪・市川哲寛) 【写真】JR西日本の新しい観光列車「はなあかり」 JR西の観光列車は3月に北陸新幹線が延伸開業した福井県の敦賀と、兵庫県の城崎温泉を結ぶ区間に投入した。「地域の華を集め、乗客と地域の縁を結ぶ列車」をコンセプトに、地元食材を用いた弁当・スイーツや地元産品の販売、職人による伝統工芸の解説などでもてなす。 停車駅でも地元産品の試飲・試食サービスや販売、手旗・横断幕での送迎などを予定している。長谷川一明社長は「地元の歓迎ムードと一体で盛り上がってほしい」と期待をかける。 25年からは走行エリアを変更して西日本各地を巡る予定だ。25年1―3月は臨時特急「かにカニはまかぜ」に増結して大阪―兵庫県浜坂間を走る。 近鉄GHDは新型車両「8A系」と万博シグネチャーパビリオンのラッピング電車「Daialogue Train(ダイアローグ・トレイン)」を投入した。8A系はベビーカーやキャリーケースなどを持つ乗客でも座って乗車しやすいスペース「やさしば」を備えた。「すべての人が使いやすい車両」(近畿日本鉄道の鉄道本部)と強調する。 万博ラッピング電車は近鉄以外でも走っているが、パビリオンのデザインを採り入れたラッピング電車は初めて。相互乗り入れする阪神電気鉄道の路線も含めた奈良―神戸間などを走る。近鉄GHDの若井敬社長は「万博と奈良を結ぶ架け橋になれば良い。1人でも多く万博に興味を持ってほしい」とし、万博で関西を訪れた国内外の人を沿線の観光地である奈良への誘導につなげたい考えだ。 阪急は座席指定サービス「プライベース」のある特急車両「2300系」を大阪と京都を結ぶ京都線に、ロングシート仕様の通勤型車両「2000系」を神戸・宝塚線に導入した。内外装は阪急の伝統を踏襲しつつ、インバーター式空調装置や空気清浄機の初採用、バリアフリー設備拡充などで快適性を高めた。 万博開催後も大阪では30年に統合型リゾート施設(IR)が開業を予定する。関西の鉄道各社では、万博を契機に増加が見込まれるインバウンドなどの人の流れを誘導し、沿線地域の経済活性化につなげようとする動きが本格化している。