ハロプロオーディション前代未聞の展開に 設立27年目で初の試み、その真意は?
BEYOOOOONDSが立ったふたつの岐路
今回開催の「ハロー!プロジェクト新メンバーオーディション2024」は、過去のオーディションと異なる点がいくつかある。冒頭でも触れたが、「ハロー!プロジェクトオーディション」と「BEYOOOOONDSポテンシャルオーディション」という、通常のオーディションと1組のグループに特化したオーディションの2部門制という形式は、ハロプロの歴史上でも前例のないものだ。これはBEYOOOOONDSというグループの現状が大きく関係している。 2018年の結成以来、卒業や加入といったメンバーチェンジが近年までなかったのがBEYOOOOONDSだ(正確に言えば、平井美葉・小林萌花・里吉うたのの3名は後からの加入だが、結成やメジャーデビュー前の人事はノーカウントとされるのがハロプロの通例である)。それが崩れたのが今年2024年で、3月に一岡伶奈が体調不良により卒業コンサートを行わないまま卒業。6月には山﨑夢羽が豊洲PITでのライブをもって卒業した。 ここで考えられるBEYOOOOONDSの今後については、大きく2つのパターンが想定される。まずひとつは、モーニング娘。や他のハロプログループと同様にメンバー加入制を受け入れ、卒業/加入ありのグループとして継続していくという道。もうひとつは、メンバー加入制を受け入れずに現在のメンバーだけで活動を続け、ある時期まで到達したら解散するという道だ。現在のBEYOOOOONDSメンバーに思い入れのあるファンにとっては、追加などせずにそのままグループとしての寿命をまっとうしてほしい、と考える者も少なくないだろう。その一方で、たとえ結成メンバーが全員卒業してしまったとしてもグループ自体は存続してほしい、という考え方もある。 つまり、今回のBEYOOOOONDS追加メンバー募集は、(メンバーの希望なのか所属事務所の意向なのかははかり知れないが)前者の道を選択し、BEYOOOOONDSが持続可能性でサステナブルなグループになろうとしていることを意味する。 また、“BEYOOOOONDSポテンシャルオーディション”の募集要項には「特技やディープな趣味などなんでも構いません 自分の強みをアピール!」とある。メンバーの小林萌花はピアノ、清野桃々姫はヒューマンビートボックス、岡村美波はDJ、島倉りかは昭和歌謡好きなど、それぞれ特技や趣味などを持ち合わせている人材が多く、それを楽曲パフォーマンスに取り入れているのがBEYOOOOONDSの大きな特徴。そんなグループの強みをさらに継続/強化させようという意図が要項から汲み取れる。 さらに注視したいのは、応募資格の年齢設定だ。「ハロー!プロジェクトオーディション」では「小学5年生~満16歳まで」、「BEYOOOOONDSポテンシャルオーディション」では「高校1年生~満20歳まで」となっている。過去のオーディションでは、多少ばらつきはあるが、基本的に小学校高学年~高校生までが範囲であることが多かった。つまり、前者は通例通りだが、後者は多少年齢を引き上げているのだ。 ハロプロの各グループの平均年齢を見てみると、BEYOOOOONDSが一番高い。メンバーの増減がないということは、活動を続けていくと1年に1歳上がっていくということでもあり、他のメンバー増減があるグループに比べて平均年齢が高くなるのは至極当然だ。BEYOOOOONDSの最年長メンバーは1999年生まれで25歳の高瀬くるみ、最年少だと2004年生まれで19歳の岡村と清野だ。 今回募集しているBEYOOOOONDS新メンバーには何らかの特技や個性が求められているので、それが発現している可能性がより高い高年齢に設定しているのかもしれない。また、あまりにも低年齢の新メンバーを入れて、既存メンバーとの年齢差を開かせることを良しとしない、という思惑も考えられる。