十五夜に願いを込めて 島唯一の綱引き、にぎやかに 喜界町小野津
鹿児島県喜界町小野津の神宮(かみや)、前金久(まえがねく)の2集落で17日、収穫に感謝し五穀豊穣(ほうじょう)を願う十五夜祭があった。子どもたちが主役となり、十五夜に綱引きを行う習わしが残るのは島内で小野津地区のみ。「綱引きで切れた綱を海に流すと、願い事がかなう」とも伝えられており、子どもたちは元気な掛け声を集落に響かせながら、綱が切れるまで懸命に引き合った。 小野津地区の北東側に位置する神宮集落では、午後6時半ごろトゥマンニャラーと呼ばれる広場に40人以上の地元住民が集まった。ススキを飾った祭壇にお神酒や団子、ゴマ、サトウキビ、サツマイモなどを供え、五穀豊穣を祈願。南西部の前金久集落でも祭壇が設置された。子どもたちは2集落合わせて約30人が参加し、それぞれの集落で綱引きを実施。地元高校生らが制作したわら綱を二手に分かれて引き合い、切れたわらを港へと運び、願いを込め海へ流した。 毎年、十五夜祭に参加しているという男児(8)は「綱引きは楽しい。一生懸命引っ張っていると綱が急に切れるのでいつもびっくりする」と笑顔で話した。 前金久の竹本欣弥区長(69)と神宮地区の芝山静男区長(77)は「子どもたちには自然への感謝を忘れず、楽しい思い出と共に、集落の伝統を大切に守っていってほしい」と話した。