マウントゴックス元CEOによる振り返り──現在のツールがあればハッキングは起きなかった
日本の規制
カルプレス氏は、日本には現在、取引所に対する厳格なカストディアン規則があり、それこそが、FTXの顧客にとって最も安全な場所が日本である理由だと指摘する。 「マウントゴックスの事件が起こる前、日本ではビットコインが何であるかを誰も知らなかったが、マウントゴックスの破産が起こったとき、全国にテレビ報道された。日本には1万から2万人の顧客しかいなかったにもかかわらず、すべてのテレビ局で中継され、広く報道された」と同氏は述べた。 「4年後のコインチェック(Coincheck)のハッキングとともに、これらの事件により、日本は暗号資産取引所に対してはるかに厳しいセキュリティルールと規制を導入するようになった」と続いた。 マウントゴックスの遺産の最終章は、債権者に返済が行われたことで幕を閉じた。そして、これがビットコインに大きな売り圧力をもたらし、価格を押し下げると考える人もいたが、現実には市場はすべてを冷静に静かに受け入れたのである。 「ビットコインのOG(Original Gangstar:初期購入者)がたくさん存在すると思う。2010年から2014年の間にマウントゴックスでビットコインを購入した人々はこの暗号資産を信じていた」と同氏は述べた。 「保有資産を取り戻した際に売却した人もいるかもしれないが、大半は依然として暗号資産を信じており、今後の動向を見守りたいと考えている」 それでは、以上を踏まえて、カルプレス氏は現在の市場をどう考えているのだろうか。中央集権化のリスクが高すぎる、そして「悪いプロジェクト」が多すぎる、という。 「(悪いプロジェクトが)多すぎる。「悪い」という言葉を非常に広義に用いたい。なぜなら、詐欺プロジェクトか、目立った新しいものを何ももたらさないプロジェクトのどちらかでもあり得るからだ」と同氏は述べた。 カルプレス氏は、より安全な暗号資産の世界、つまり、プロジェクトを見て興味を持ち、詐欺かどうかを心配せずに購入できる世界を見たいと語った。 「暗号資産について書かれたものを読むと、詐欺や、お金を失った人々など、そういったものを何でも目にする。暗号資産が始まって以来、常に同じ話が持ち出されている」と同氏は話を締めくくった。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Parikshit Mishra/CoinDesk|原文:Mt. Gox Wouldn't Have Happened With Modern Tools, Mark Karpeles Says
CoinDesk Japan 編集部