会社に勤めており、先月「年末調整」を行いました。所得には複数の種類がありますが、会社員にとってどのような関わりがあるのでしょうか?
年の瀬も押し詰まり、会社員の方には年末調整や確定申告のシーズンがやってきました。本記事では所得の種類について解説し、それぞれの所得の特徴とそれらが会社員にとってどう関わってくるかについて説明します。
所得の種類
日本の所得税法では、所得は10種類に分類されており、それぞれ異なる収入に課されます。以下は、各所得の概要です。 (1)利子所得 銀行預金の利息や公社債の利子など、預貯金や債券から得られる利息が該当します。通常はその支払いを受ける際に源泉徴収されるため、あらためて申告をする必要はありません。 (2)配当所得 株式や投資信託などの配当金、利益配当、分配金など、企業やファンドからの分配収入が対象です。配当所得の課税方式には源泉徴収、申告分離、総合課税があります。 (3)不動産所得 土地や建物などの不動産の貸し付けによる所得をいいます。土地や建物を売却したときの譲渡益は譲渡所得となり、不動産所得とはなりません。会社員で不動産所得のある人は、原則確定申告をする必要があります。 (4)事業所得 個人事業主が、事業活動によって得た収入です。例えば小売業、サービス業などが含まれます。会社員が副業で事業所得がある場合も確定申告をする必要があります。 (5)給与所得 会社からの給与やボーナスなど、雇用契約に基づく収入が対象です。会社員の所得は、給与所得に該当します。会社員は会社が年末調整をしてくれるので、原則確定申告をする必要はありません。ただし、「医療費控除」「寄附金控除(ふるさと納税を含む)」「雑損控除」の3つの所得控除を受けようとする場合には、確定申告をする必要があります。 いずれにしても、年末調整または確定申告いずれかの手続きを経ることで、税の還付を受けることができます。 (6)退職所得 退職金など、退職時に支払われる一時金が該当します。退職所得は退職所得控除という控除が適用され、税務的に優遇されており、退職金を支払う法人が税額を計算して納める源泉分離方式が採られています。税金の計算の方法が違うため、給与所得など他の所得とは別に計算されます。 (7)山林所得 山林を売却した際の収入が対象で、取得から5年以上経過したものに限られます。これは山林を持っている人に適用されるもので、特別な所得ということができます。 (8)譲渡所得 土地・建物、株式、書画・骨董(こっとう)などの資産を売却した際に得た収入が該当します。短期と長期で税率が異なります。個人でも上記の資産を売却して利益を得た場合は、税金を支払う必要があります。資産によって課税方式や税率が異なるので、注意が必要です。 (9)一時所得 懸賞や保険の満期返戻金など、偶発的に得られる収入が対象です。利益の総額に対し特別控除が適用されるため、他の所得と比べ税務的に優遇されています。 (10)雑所得 上記以外の所得が対象で、例えば年金収入や事業所得と認定されない副業の収入、原稿料・講演料などが該当します。 各所得の種類に応じて、異なる課税方式や控除が適用されるため、所得の分類は重要です。
所得を正しく理解して節税や申告をスムーズに
所得の種類を正しく理解することは、税金を過不足なく納めるための第一歩です。また、各所得に応じた節税方法を知ることも重要です。例えば、確定申告の際に必要経費を適切に計上すれば、所得税の負担を軽減できます。正確な情報を把握し、税務署や専門家に相談しながら適切に対応しましょう。 出典 国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし 執筆者:浦上登 サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部