救急業務にマイナンバーカード活用 長崎市消防局、県内初の実証事業 搬送先の素早い選定へ
長崎市消防局は傷病者を救急車で緊急搬送する際、本人のマイナンバーカードから診療情報などを把握し、適切な医療機関の選定につなげる「マイナ救急実証事業」を、県内で初めて6日から始める。11月初旬まで。原則、傷病者本人の同意が必要。 実施するのは西彼長与、時津両町を含む管内15の救急隊。同局警防課によると、正確な医療情報の把握や傷病者の負担軽減が目的。専用端末でカードを読み取ると▽氏名▽病院の診療情報▽薬剤情報▽特定健診の検査結果-などがタブレットに表示される。 通常これらの情報は傷病者や付き添いの家族、施設関係者らから聞き取るが「具合が悪くて話せない」「気が動転して病歴が思い出せない」など、情報収集が難しいこともある。これにより医療機関側の受け入れ拒否が頻繁に起きており、搬送先の選定に時間がかかっているという。 同局が通報を受け、医療機関に搬送するまでの平均時間は約47分。マイナカード活用で3~5分の短縮を目指しており、担当者は「搬送先を素早く選定し、救命率向上につなげたい」と話している。 実証事業は消防庁が全国の67消防本部、計660隊で5月下旬から順次実施。7月末までのマイナカードの利活用率は14~15%。実証事業への協力にはマイナカードを携行し、健康保険証の利用登録をしておく必要がある。