<東京五輪>訪日観光客を増やせるか/木暮太一のやさしいニュース解説
オリンピックが東京で開催されることに決まりました。経済的に考えた時、日本はこのオリンピックをどう“活用”すればいいのでしょうか?
不透明な経済効果
オリンピックの経済効果は3兆円とも5兆円とも言われています。ある証券会社のエコノミストは、「150兆円」という試算も出しています。 「結局、いくらなの?」 イギリス政府は、ロンドンオリンピックの経済効果を「1.5兆円」と発表しました。日本と同様の先進国で、かつ直近で行われたロンドン大会の結果から大きく外れることはないと考えられます。そのため、この規模がひとつの目安になるでしょう。 ただし一方で、オックスフォード・エコノミクスというコンサルティング会社(オックスフォード大学とのパートナーシップとして設立された経済コンサルティング会社)は「2.5兆円」という数字を出しています。 「なんでそんなに違うの?」 どこまでを「オリンピックの効果」として計算するかで、最終的な経済効果が大きく変わってくるということです。つまり、かなりの程度、「計算上の値」なのです。この連載でも前にしてきしたように、いわゆる「経済効果」があるかどうかは、かなり不透明です。
外国人観光客が少ない日本
「じゃあ、やっぱりオリンピックに経済効果は期待できないの?」 いえ、そうでもありません。ひとつ大きな期待ができることがあります。それは訪日観光客数が増えることです。これは、オリンピックの直接の経済効果というより、日本がオリンピックをきっかけに、自分で生み出す効果です。 日本は何年も前から、外国人観光客をもっと呼ぼう!とがんばっています。しかし、思うような成果は出ていません。訪日外国人旅行者の数は、ここ数年で850万人前後です。 「850万人も日本に観光に来てるってこと? それって少ないの?」 世界と比較すると、この少なさが際立ちます。
日本は、フランスの10分の1、イタリアの5分の1です。そしてマレーシアにも大差をつけて負けているのです。どこもそれぞれ、いい観光地を持っています。ですが、これほどまでに少ないのはかなりショックですね。