「世界で最も高価な航空機」米空軍の“記録”を更新! 即応性アップ期待も手放しで喜べない事情が
老体のB-2退役まで続く効率化の追求
B-2のコストは1機あたり13億ドル(日本円で約1950億円。プログラム全体の費用を含めると20億ドルという説も)もするため、「世界一高価な軍用機」としてギネス世界記録にも登録されています。 しかも、高コストなのは機体自体の価格だけでなく、その運用経費も同様で、1時間あたりの運用コストは13万5000ドル(日本円で約2025万円)もかかるといいます。ちなみに、このデータは2010年頃の古いものなので、そこから10年以上経った現在では老朽化などによってさらに維持運用経費はかさんでいるでしょう。 今回のB-2のPDM作業で大きな期間短縮が達成されたのは、実はその老朽化に対応するために作業工程を見直して、効率化を追求した結果だといいます。 B-2のシステムプログラムマネージャーであるフランシス・マリノ大佐は「航空機が老朽化するにつれて、PDMで対応が必要な問題が増えて行きます」と説明。そのために、PDM作業前に機体の事前点検を実施し、問題点を作業前に把握し、修理に必要な部品の発注や、スケジューリングの効率化が行えたそうです。 また、マリノ大佐は「B-2に匹敵する機体はほかにありません。敵が新しく高度な兵器を開発し続ける限り、B-2には継続的に投資する必要があり、PDMラインで私たちが行っている作業は重要な役割を果たすでしょう」ともコメントしています。 前述したように、唯一無二のステルス爆撃機として知られるB-2ですが、運用開始は1997年のため、すでに軍用機としてはベテランといえる存在です。後継機であるB-21の就役は2020年代半ばになる模様のため、それまでB-2はコストパフォーマンスの悪さに目をつぶりながらも運用が続けられるのは間違いないでしょう。
布留川 司(ルポライター・カメラマン)