能登の復興祈る「飾り山笠」 博多の人形師、絵師題材に
「博多祇園山笠」で町を彩る壮麗な山車「飾り山笠」。大正6年創業の「中村人形」の4代目中村弘峰さんは、能登半島地震の被災地復興を祈り、現在の石川県七尾市出身で、安土桃山時代に活躍した絵師・長谷川等伯を題材にした飾り山笠を作った。 高さ約11メートル、豪華な装飾の中に配置された人形たち。最下部の等伯は墨絵を背景に、刀を構えるように絵筆を持ち、金雲を背負うライバルの狩野永徳と向き合う。 7日、福岡・中洲に設置された「能登等伯天賦才」の前には多くの人が集まり、迫力と精巧さを楽しんだ。 能登半島地震当時、中村さんは今年の飾り山笠の構想を練っていた。甚大な被害が明らかになり「復興への祈りをテーマにしよう」と決意した。 金沢市に住む知人の陶芸家は、地震の揺れで作品の焼き物が多数割れた。水墨画の最高峰とされる国宝「松林図屏風」を描いた等伯を取り上げたのは、人形師として、能登の職人たちを励ましたいとの思いからだ。
「幾多の困難を乗り越え、国宝を描くまでに至った人が能登の地にいたことを多くの人に伝えたい」と語る。