元高見盛、亡くなった兄弟子・曙太郎さんの教え受け継ぐ 62年ぶり勧進相撲で大パフォーマンス 両国国技館で開催
日本相撲協会は16日、能登半島地震復興支援の勧進大相撲を東京・両国国技館で開催。OB戦に登場した東関親方(47)=元小結高見盛=は、付け人を務めた元横綱曙太郎さんが今月54歳で亡くなった悲しみを胸に、現役時代さながらのパフォーマンスで爆笑をさらった。 【写真】曙太郎さんと真剣交際していたが婚約破棄になった女優 1962(昭和32)年に大阪・四天王寺の復興を目的に開催して以来、実に62年ぶりとなる勧進相撲。美声力士の「のど自慢」や関取の取組などのほか、「甦る! 思い出の名勝負」と題したOB戦が盛り上がりを見せた。取組前の気合い注入ポーズで人気を集めた東関親方は、「勝敗以前にやっぱり盛り上げないといけないと思って」とファンの期待に応え、現役時代よりも派手なパフォーマンスを披露。ところが、肝心の千賀ノ浦親方(元幕内里山)との対戦では、「自分の相撲を取らせてもらえなかった。引退してもう11年ですよ」とあっさり寄り切られて敗れた。 顔で笑って、心で泣いて。現役の親方で唯一、兄弟子だった曙さんの14日の通夜、15日の告別式の両方に参列したばかりだが、「これはこれですけど、今できることをやるだけですから」。生前に受けた厳しくも温かい指導に、「力士としてどうあるべきか。責任と、立場の重さを教えられました。自分が相撲界で生きていけているのは曙さんのおかげです」と感謝してやまない。 現在は八角部屋の部屋付き親方として後進を指導。「できるだけ教えていきたいと思うんですけど。(自分は)あの人ほど強くなかったですし、性格はむしろ真逆なんで」と謙遜しつつも、曙さんからから学んだ心得を後代に伝えていくことが恩返しになる。 (塚沢健太郎) ■石川県出身大の里 被災者に活躍誓う 両国国技館は観衆7000人の満員御礼。入場料などの収益は能登半島地震の被災地に全額寄付される。「祖父がまだ避難所で生活している」という石川県津幡町出身の大の里(23)=二所ノ関=は、1階席で観客を出迎え気軽にサインに応じた。夏場所(5月12日初日・両国国技館)は新三役が濃厚。「本場所で勝つことが元気を届けることになる」と被災者のためにも活躍を誓う。