たかがタイヤじゃないぜ! 経験の浅いトラック運転士を助けるタイヤが存在した
経験の浅いドライバーに考慮したタイヤを開発
一見、タイヤは何の変哲もないゴム製品だが、そのなかには自動車が安全に走行するための多くの工夫が詰まっている。タイヤショップなどに行くと、選ぶのに困るほどの種類が展示されているが、それぞれユーザーの求める性能に応じた特性があるのだ。同様に、トラックについても専用のタイヤが用意されている。 【写真】こんな感じでやってるのか! リトレッドタイヤを生み出す作業風景 トラックは乗用車に比べて、 ・車両の重量が重い ・荷物の積載時と非積載時で車両重量が大きく異なる ・スポーティな走りはしない ・走行距離が多い ・商用車なので経済性が求められる といった特徴があるが、小型トラックはさらに、 ・短い距離で停車、発進を繰り返す ・狭い道を走ることが多く、頻繁にハンドル操作を行う などといった条件が加わる。すなわち、小型トラック用のタイヤには丈夫で長もち、高性能、くわえて経済的にも優れていなければならないという、高いハードルが存在するわけだ。 また、トラック業界には解決に注力しなければならない「2024年問題」が横たわっている。とくに一般消費者向けのEC(Electronic Commerce、電子商取引)が普及したことにより小口配送が増加し、小型トラックが活躍する場面が増加。必然的にそのドライバーが大幅に不足し、未経験者の採用が増加しているといわれている。 トラックは乗用車と運転感覚が異なる部分が多く、未経験者は慣れるまで一定の時間が必要だ。タイヤメーカーでは、そんな不慣れなドライバーをサポートするべく、より安全な小型トラック用タイヤの開発を行っているのである。
東洋ゴムが安全で経済的なタイヤを開発
こういった背景の下、東洋ゴムが小型トラック用のリブタイヤを新たに発売した。リブタイヤは、トレッドパターンが縦溝中心としたデザインになっており、走行時の転がり抵抗が低くて省燃費性、静粛性に優位性をもつ。また、排水性にも優れ、雨天でも安全性が高く、偏摩耗しにくいので寿命が長いというメリットがあるのだ。 今回登場した「DELVEX M135」は、これらリブタイヤの特性を生かしているだけではなく、以下のような新たな技術が投入されている。 ・トレッドパターンに大型センターブロックの採用……センターリブを大型ブロック化することで、旋回時の過度な動きを抑制する →低燃費性・耐摩耗性の向上 ・接地端にサイプや切れ込みを設定……旋回時の横にかかる力を抑制する →耐偏摩耗性を確保 ・ワイドセンターエリアを設定……センター部分の設置面積を広くとることで、積載時・非積載時にかかわらずグリップ力を確保 →ウエット性・耐摩耗性向上 これにより、街なかで配送などの業務に就く小型トラックの特性に合致した基本的な性能はもちろんのこと、商用車に求められる経済性の要求も満たしている。くわえて、ドライ・ウエット両面での高いグリップ力や、横滑り抑止力といった安全性に直結する性能についても高いレベルを維持することで、経験の浅いドライバーでも安心して運転ができるのだ。 トラックの安全性能といえば車両本体の先進安全装置に目が行きがちであるが、車両を支えて地面に直接触れているのはタイヤである。トラック輸送の安全を考えるときには、タイヤの重要性も決して忘れてはならないといえる。 省燃費などの経済性も大事だが、トラック、ドライバー、使用状況などのあらゆる要素を考慮して、最適なタイヤ選びをすることが望ましいといえよう。
トラック魂編集部