日本でも定着?新宿区が自転車シェアリング開始 港など5区内貸し借り可能に
民間通信事業の運営システム管理を使い、広域相互利用開始
ひとつの自転車をシェアするには、運営事業者が「何台の自転車が貸し出されているか」「どこの駐輪場に使用されていない自転車があるのか」といったことを常に把握しなければなりません。ひとつの自治体だけで自転車シェアリングを実施するのにも、管理体制を構築しなければなりません。複数の自治体で相互利用をするとなったらシステムは複雑化します。 さまざまな難題をクリアして広域相互利用が実現した理由は、大手通信事業者のドコモが運営やシステムの管理をしているからです。ドコモは、自身が構築した通信ネットワークを活用し、2008(平成20)年から北海道札幌市で自転車シェアリングの研究に取り組んできました。 培ったノウハウを活かし、ドコモは2011(平成23)年に横浜市で自転車シェアリング事業を開始。翌年には、江東区の台場エリアでも自転車シェアリングをスタートさせています。江東区につづき、自転車シェアリングは千代田区・港区と拡大。そして、2016(平成28)年2月から中央区が加わったことでエリアが地続きになり、4区による自転車シェアリングの広域相互利用が開始されたのです。 そうした広域相互利用に新宿区が加わり、自転車シェアリングのネットワークは5区に拡大。発着場所になっているポート数が約180、自転車台数は約2000にまで広がりました。
利用者に自転車事故を起こさせないために 安全講習会やヘルメット配布
順調に拡大している自転車シェアリングですが、運営を手掛ける株式会社ドコモ・バイクシェアの坪谷寿一社長は「自転車シェアリングの運営事業者として、なによりも大事なことは利用者が事故を起こさないようにすることです。運営事業者であるドコモは、常に安全運転を呼びかるようにしています」と強調します。 昨今、“ポケモンGO”をはじめとするスマホゲームが大流行した影響もあって、スマートフォンなどを操作しながら自転車を走らせる人も多く見られます。そうした、“ながらスマホ”による自転車事故は後を絶ちません。 「自転車シェアリングは道路を利用しています。道路は公共空間で、自治体や警察といった行政が管轄する分野でもあります。そうした事情も踏まえて、自転車シェアリング事業は拡大よりも安全を第一にしています。ドコモでは安全運転の意識を高めるために、自転車シェアリングの利用者に向けて安全講習会を定期的に実施したり、ヘルメットをプレゼントするなどしています。」(坪谷社長)。