空飛ぶクルマの実現や、脱炭素社会にも貢献する“モータ”のすごさが丸わかり!ニデックが「モータインパクトレポート」を公開
多くの家電やIT機器、乗り物などに組み込まれるモータ(モーター)は、現代人にとって非常になじみ深い存在。一方で、脱炭素化を筆頭にさまざまなシーンで社会に大きく貢献している技術であることは、意外と知られていない。そこで、精密小型モータの開発・製造において世界一のシェアを誇るニデック株式会社(以下、ニデック)では、2024年8月8日、モータ業界の社会貢献度を可視化したデータなどが収録されたスペシャルサイト「モータインパクトレポート」を公開。その気になる中身を、ここで、ちょっぴりご紹介! 【写真】モータは世界の電力エネルギーの約半分を消費している!(モータインパクトレポート・インフォグラフィック1) ■「モータインパクトレポート」公開の背景 ニデックでは2024年5月、「モータの社会貢献度に関する調査」を実施。その結果、モータが社会に役立つ技術であることが十分に認知されていない現状が判明したという。この調査結果を受け、ニデックでは、“世界一高性能なモータで地球に貢献する”という同社の使命をわかりやすく伝えるため、「モータインパクトレポート」の公開を決めたのだそう。 ■レポートの構成は? 今回のスペシャルサイトでは、[1]モータによる「脱炭素インパクト」 、[2]モータによる「くらしインパクト」、[3]モータによる「みらいインパクト」の3方向を軸に、モータの具体的な貢献内容を可視化し、発信している。 [1]モータによる「脱炭素インパクト」 (1)世界の電力消費の46%は、モータによるもの モータは地球環境と密接に関わっており、実際、世界の電力エネルギーの46%は、モータによって消費されているという(※)。つまり、モータの消費電力を抑えられれば、世界の電力消費の抑制が可能になり、脱炭素社会に一歩近づくと言える! ※参考:一般社団法人日本電機工業会「トップランナーモータ」 (2)モータ効率を10%向上させれば、原子力発電所を100基削減できる モータは冷蔵庫やエアコン、ロボット掃除機など身の回りのあらゆるものに搭載されており、その効率が改善されると消費電力に大きな影響を与える。ニデックの調べによると、仮に、地球上のすべてのモータの効率を10%改善することができれば、原子力発電所100基分の消費電力を削減できる計算になるという。 (3)クルマのハンドルに電動モータが付けば燃費が5%向上する! モータは、クルマの燃費効率も向上させてきた。クルマの操舵に必要な力をモータで支援する電動パワーステアリングの導入により、油圧ポンプ式のステアリングと比べて燃費が5%向上。 さらに、現在導入が進んでいる、クルマの操舵を電子制御でおこなう「ステアバイワイヤ」でもモータが活躍。ステアバイワイヤの採用には、ドライバーが認識できなかった危険もシステムにより回避できるようになるというメリットも! [2]モータによる「くらしインパクト」 (1)スマホの「押してる感」は触覚デバイスによって再現している! 私たちの暮らしになくてはならないスマートフォンやPC、スマートウォッチにも、モータがひと役買っている。ニデックは、振動によって「触れる」感覚を再現する「触覚デバイス」を、さまざまな機種に合わせて提供。さらに2024年4月には、「TapSense」という厚さ1.4ミリの世界最薄(ニデック調べ)の永久磁石可動型リニア振動アクチュエータを開発し、車載パネルやウェアラブル医療機器などに採用されている。 (2)モータの進化によって掃除機はコードから解放された! 従来、キャニスター型掃除機のモータとして主流であったACモータから、より小型でハイパワー、かつ消費電力が少ないDCブラシレスモータに進化し、バッテリー駆動が可能となったことから、掃除機のコードは過去のものとなった。吸引力はキャニスター型掃除機と比べ2倍、重さは約40%になるなど、性能もアップ! (3)洗濯機もモータの進化でもっと静かになる! 近年、洗濯機が、より静かになったことにお気づきだろうか。実は、ニデックが世界で初めてレジンパックモータ(※)を実用化したことで、従来のモータに比べて振動や騒音が大幅に軽減したのだそう。さらに現在は、モータ本体も静音化できる「ブラシレスDCモータ」の洗濯機への実用化にも取り組み中。未来には、動いていることがわからないくらい静かな洗濯機が、実現できるかも? ※内部部品を樹脂で封入することで振動を抑え、静音性を向上させたモータのこと [3]モータによる「みらいインパクト」 (1)減速機の開発で産業用ロボットが進化!快適な作業環境を実現! 減速機とはモータの回転数を落とす代わりに、回転する力(トルク)を上げる役割を担う、ロボットアームなどに使われる機器のこと。ニデックが開発した新製品では、減速機とセンサ(トルク・温度・角度)が一体化することで、協働ロボット(人と協力しながら働く人間協調型のロボット)の小型・軽量化、ロボットの衝突や過負荷検知、動作精度の向上、遠隔監視が可能に! (2)モータで空を飛ぶクルマが、被災地や離島への移動手段に! モータの進化によって、東京・静岡間の距離をも移動できる空飛ぶクルマ(電動垂直離着陸機・eVTOL)が可能になるといわれ、将来的には渋滞の緩和などの社会課題の解決も期待されるという。普及すれば、離着陸の場所を確保しづらい都市部、小さな島、被災地支援にも空路での移動手段を提供することも可能に。ニデックは世界第3位の航空機メーカー・エンブラエルと合弁会社を設立し、機体が空中で移動するためのモータ駆動に関する技術を提供しているそうで、今後、東京・静岡間と同等の最長100マイルが飛行可能なeVTOLが完成する予定とのこと。 (3)空飛ぶ通信基地局が、災害時の通信不安を解消! 地震などの災害時をはじめ、誰もがいつでもどこでも安定した通信環境につながることができる社会を目指し、成層圏を飛行する通信基地局の開発が進められている。それが「成層圏通信プラットフォーム(HAPS)」。この HAPSには、軽量でエネルギー効率が高く、長時間の飛行を実現するモータの存在が欠かせないそうだが、ニデックは、ソーラー発電のみで長時間飛行を行うHAPS向けに、軽量・高効率・高信頼性のモータを開発。成層圏の低圧環境においても安定した性能を発揮する高い放熱性を実現させている。 ■社員インタビュー動画も公開 「モータインパクトレポート」では、「モータで世界をちょっといい方へ。」をキーワードに、5名のニデック社員へのインタビューも実施。それぞれの目線から、モータの可能性を紐解いている。 ■「モータの社会貢献度に関する調査」について なお、今回の「モータインパクトレポート」公開のきっかけとなった、「モータの社会貢献度に関する調査」についての詳細は以下の通り。世間一般の人々が抱く、モータについてのイメージを見ていこう。 <調査概要> 調査名:ニデック「モータの社会貢献度に関する調査」 調査期間:2024年5月24日年5月28日 調査対象者:大学生・大学院生ならびに20代~50代の男女、各103名(計1030名) 調査方法:インターネット調査 [Q]“あなたは、「モータ」について、どの程度知っていますか?” 「モータについて詳しく知っている」との回答は、全体の2割程度。6割以上は「モータ」という言葉さえ聞いたことがないという結果が判明した。 [Q]“あなたは、世界規模で脱炭素に取り組む際に、「モータ」が関係することをご存じですか?” 「どのように関係しているか知っている」との回答も16%と少なからず見られたものの、「想像はつくが知らない」が最多の45%。「知らない」の39%と合わせると8割以上が認知していないことが明らかになった。 [Q]“あなたは、PCやスマホ、家電の小型化に「モータ」が関係していることをご存じですか?” PCやスマホ、家電の小型化に「モータ」が関係していることへの認知は、「知っている」がわずか2割弱にとどまるという結果に。 [Q]“あなたは、「モータ」が社会に役立っていると思いますか?” 「モータ」が社会に「役に立っていると思う」との回答が、「やや役に立っていると思う」と合わせると8割を超える結果に。「モータ」自体の認知度は高くないものの、漠然と「社会の役に立っているのだろう」とのポジティブなイメージが浸透している事実が読み取れる。 [Q]“あなたが「モータ」について知っていることをすべてお選びください” 「知っていることはない」との回答が、42.0%で最多。ついで、「PCやスマホ、家電の小型化にモータが関係している(27.5%)」「モータの進化によって洗濯機の静音性を高めることができる(27.2%)」「モータの小型化によって、ノートパソコンが軽くできている(27.0%)」といった回答が続き、多くの人が、モータが暮らしを豊かにしている実感を得ていることが判明した。 「モータの社会貢献度に関する調査」および、「モータインパクトレポート」について、担当者に話を聞いてみた。 ーー「モータの社会貢献度に関する調査」を実施した理由は。 モータが脱炭素社会に貢献していることや、私たちの生活を豊かにする技術であることが十分に認知されていないと感じたからです。調査を通じて、一般の人々の認識を把握し、モータの重要性を広く伝える必要があると考えました。 ーー「モータの社会貢献度に関する調査」を通して、見えてきたことは? 調査の結果、8割以上の人々がモータの社会貢献度を認識していないことが明らかになり、驚きました。これは、モータの影響力が大きいにもかかわらず、その重要性が十分に理解されていないことを示しています。 この結果から、私たちはしっかりとわかりやすくモータの重要性を伝える必要があると感じました。 ーーモータインパクトレポートの立ちあげの経緯は? 調査結果を受けて、モータの社会的貢献を可視化し、広く発信するために立ち上げました。インフォグラフィックや社員インタビューを通じて、モータの具体的な利点をわかりやすく伝えることで、一般の理解を深めることを目指しています。 ーー読者へのメッセージは? 今回のモータインパクトレポートを通じて、モータが私たちの生活や環境にどのように貢献しているのかを、多くの方に理解していただけたらと考えています。 普段みなさんが利用している家電やデバイスを始めとした「動くもの」には必ずモータが入っておりますし、今後のEV化の加速を始めとする未来の技術への影響など、多角的な視点からモータの価値を感じていただきたいです。 私たちニデックは、軽薄短小の技術を追求して常に社会が求める製品を生み出し続けることで、世界No.1の総合モータメーカーにまで成長しました。今後も環境に配慮した技術を通じてより良い未来を築いていきたいと思います。 私たちの世界とよりよい未来に大きく貢献しているモータ。詳しく知りたい人は、ぜひ、サイトをチェックしてみては。