ミス日本に選ばれたウクライナ出身女性をめぐる議論…多様化が進む日本において、改めて「日本人とは何か」を考えるきっかけに
◆今の時代の価値観にミスコンは“不適切”?
一人ひとりの顔がみんな違っていても全員アメリカ人とみなされるアメリカのミスコンと、日本民族98パーセントの日本のミスコンでは、どんな違いがあるのでしょうか? ラボメンバーから意見を聞きました。 ノエ:日米のミスコンの違いは、美の嗜好の違いよりも、むしろ国のダイナミクスの違いだと思う。アメリカは移民の国で、最初にここに来た人たちは白人かもしれないけど、それでおしまいではないからね。その後、移民がどんどん入ってきて、今は本当に多様な人々で構成されている。 一方で、日本は古代から、完全に日本人の国という歴史があるよね。これは完全に違うダイナミクスだと思う。国のサイズも小さいし。 ミクア:ミスコンって、誰かの外見、見かけを評価しているわけでしょう? 才能や人道的な活動も見られるけど、やはり(評価基準は)主に外見だよね。優勝者を見ると、なぜか同じようなルックスの人が多い。体型や顔、髪の質など、同じタイプの人が目立つんだよね。 アメリカは多様性の国で、ミス・ユニバースなど世界の国を代表する場もある。だけど、外見的にはある特定の美の基準があるみたいで、そういうタイプの人が選ばれているように見える。 ノエ:そういうこともあって、アメリカではミスコンはあまり人気がなくなっているよね。でも、日本ではまだかなり人気があるんじゃない? 大学のミスコンもまだやっているでしょう? シェリー:アメリカの大学にミスコンはないの? ノエ:やってないと思うよ。こちらの大学はずっとリベラルな環境だからね。外見を判断するコンテストをおこなうこと自体、あまり良いと思われていないんだ。 アメリカでは美を競うコンテストの人気は全体的に下降しており、世界でもミス・ユニバースの視聴率は年々低下している現状があります。低迷の背景には「見かけで選ぶことが今の時代にそぐわない」「選ばれる基準がパターン化している」といったラボメンバーの指摘以外にも、「ダイバーシティを重視する今の価値観と、世界基準の美を選ぶコンテストが適切ではない」「男性目線の伝統的な女性らしさが強調されている」といった非難の声の多さが原因として考えられます。 否定的な意見があるなか、「女性をエンパワーメントできる機会」と捉えたり、モデルや俳優になれるチャンスだと、ミスコンを肯定的に捉える人もいます。また、日本においては大学のミスコンがいまだに人気を集めています。 ニューヨークタイムスは、日本の一流大学のミスコンに対して「女性を外見で判断し、性別で厳格に定義された役割に当てはめることが多い文化を反映している」と厳しい意見を寄せました。日本でも大学ミスコンは同様の批判を受けており、多様性がある環境を目指す方針とそぐわないため、今やほとんどの有名大学はミスコンを公認していません。 それでも、大学ミスコンはいまだに放送局のアナウンサーやモデルへの登竜門として、出場者だけでなくタレント事務所からも重要視されています。スポンサーは一流大学の名前を使ってPRできますが、一方で「一生懸命頑張っている女性を利用した搾取」という非難の声もあがっています。 シェリーは「見かけで判断されてつらい思いをする人もいっぱいいます。時代が変わっているということもあるし、ミスコンはいろいろなことを考えるきっかけになると思います」と話し、話題を締めくくりました。 (interfm「sensor」2024年2月9日(金)放送より)