アルゼンチン、VASPの登録制度を導入=報道
一部のビットコイン支持派からは落胆の声も
アルゼンチン政府が3月下旬に、暗号資産(仮想資産)サービスプロバイダー(VASP)の登録規制を導入したようだ。フォーブスが3月31日報じた。 新規則により、暗号資産の売買、送金、貸出、取引などのサービスを提供する事業者には、規制当局に登録する義務が課せられることになる。 なお同規制はアルゼンチンに拠点を置く企業だけでなく、他の場所に拠点を置く企業にも適用されるとのこと。未登録事業者はアルゼンチン国内で営業はできなくなる。 米コインデスクによれば、すでに決済アプリ「ストライク(Strike)」のユーザーは、アルゼンチンと米国間の海外送金機能がサポートされなくなる旨の通知を受け取ったという。 同規制制度は前政権時に採択され、引き継がれたものではあるが、ビットコイン支持派の新大統領ハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏の政権下で法制化される格好となった。 なお今回の新規制制定の動きに対し、一部ビットコイン(BTC)支持派からは落胆の声も上がっている。 法定通貨にビットコインを採用したエルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領のアドバイザーを務めるマックス・キーサー(Max Kieser)氏は自身のXアカウントにて「ハビエル・ミレイは最初の大きな間違いを犯した。彼はビットコインを理解する時間を取らなかった、彼はその結果に苦しむだろう」とポストした。 その一方で、規制の明確化により市場の健全化や、事業を立ち上げやすくなるというメリットもある。 年率140%を越える急激なインフレや貧困率40%などの経済問題を抱えるアルゼンチンでは、昨年11月にハビエル・ミレイ氏が選挙戦に勝利し、大統領に就任した。 ミレイ氏は選挙戦の中で中央銀行の撤廃や法定通貨の米ドル化、ビットコインのメリットを訴えていたため、一部のビットコイン支持者は同氏によるビットコイン関連の施策に期待を寄せる声も多かった。しかし、大統領就任後の金融政策ではビットコインや暗号資産ではなく、米ドル化に焦点があてられた。 しかしビットコイン関連の好意的な施策も採用されている。昨年12月にはミレイ政権の外交・国際通商大臣ダイアナ・モディーノ(Diana Mondino)氏が、アルゼンチンにおいてBTCが公式な契約における通貨として使用できることが同政権下で承認されたと発表した。 なお同国が今回のVASP規制へ向けて準備を進めている様子は2月に報じられていた。 ミレイ大統領は金融活動作業部会(FATF)のグレーリストから除外されることに注力していたため、3月に予定されていたFATFのアルゼンチン訪問に焦点を定め、行政命令の発布を急いでいた。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)