ドラマ『団地のふたり』が浮き彫りにする50代女性のリアルとは? 小泉今日子と小林聡美をテレビで観る喜び。解説レビュー
『団地のふたり』が浮き彫りにする50代女性のリアル
リアリティ性、その1は「団地の高齢者住人から若い人扱いをされること」。主人公の太田野枝こと、ノエチ(小泉)も、桜井奈津子こと、なっちゃん(小林)も50代だ。昭和期であれば、初老扱いされている年代なのに、令和の高齢化社会では若手に属するらしい。 団地の先輩(高齢者住人)からは、網戸の張り替えから町内会の仕事まで、すぐに若いふたりにバトンを渡してくる。加えて、ふたりの恋愛事情に干渉して、結婚を勧めてくるパターナリズム(家父長主義)に近い現象も...。 これはど田舎の地元に帰って、母たちと一緒にいると私もよく言われる。 「ねえ、若い人が何を言っているの~!」 「まだまだ結婚できるわよ~、若いんだから!」 そりゃ、70~80代から見たら私もノエチもなっちゃんも、若い。でもそれはマインドだけの問題で40~50代というのは、体もそこそこガタがきている。ご覧なさい、なっちゃんがノエチのために作る食事を。酒もなく、ほぼ野菜だらけの食卓じゃないですか。
赤裸々に描かれる更年期の悩み
その2は「女性ホルモンの話題」が登場したこと。第6回の放送で、団地内の父子家庭の住人の娘が、そろそろ初潮を迎えそうだという。母の代わりに娘へ、生理のことを教えるなっちゃん。対するように更年期真っ只中、そろそろ閉経も視野にあるふたり。 「毎月、毎月、産む準備をしてきたのに結局、こんなところにたどり着いてしまった。しかも更年期という悩みを抱えて」 ぼやくノエチ。 「まあいいんじゃない、そういう人がいても」 そう返す、なっちゃん。 「親不孝、しちゃったかな」 なんだか解せない、ノエチ。 やっと最近、生理のことは企業内でも話題にするようになったけれど、更年期に関してはまだまだ。誰にも話せず、未病のような不調状態に悩んでいる女性は多い。 この手の話題、民放局のドラマではデリケートなテーマなのか、あまり目にしない。ただ最近、NHKドラマでは『生理のおじさんとその娘』(2023 年)、『虎に翼』(2024年)などで、生理のことが取り上げられている。情報番組で「更年期が!」と取り上げられても、観る気が失せるけれど、ドラマならスッと脳内に内容が入ってくる。そして「ああ、私だけじゃないんだ」と励まされる。