ドラマで話題の「偽装強盗」…現実では「重い罪」も 元捜査1課刑事が解説
シャッター商店街のケーキ店で、黒い目出し帽姿の3人組の男がバールを手に、金を脅し取る。店主に包丁を突きつけ、その妻はロープで拘束。店主の脇腹には包丁が刺さり、白衣には血がにじむ。男の1人は、さらに厨房まで侵入し、ミキサーやオーブンなどを叩いて破壊、3人組は奪った現金を手に逃走していった。 白昼堂々と起きた凶悪な強盗事件…かと思いきや、実はこれ、店主もグルになった「偽装強盗」だった…。 先月スタートしたドラマ「街並み照らすヤツら」第1話で登場したこのシーン、そのコミカルな演技が話題となりましたが、もし実際に「偽装強盗」をしたら、犯人はどんな罪に問われるのでしょうか。 ドラマで警察監修を担当する元捜査1課刑事・佐々木成三さんに解説してもらいました。 ※以下、一部ネタバレも含みます※
■被害ゼロのはずの「偽装強盗」でも…偽計業務妨害罪に
「偽装強盗」は、文字通り強盗被害があったことを装うことです。 ドラマ「街並み照らすヤツら」でも、経営に苦しむケーキ店店主の竹野正義(森本慎太郎/SixTONES)が、荒木(浜野謙太)、シュン(曽田陵介)、マサキ(萩原護)と事前に打ち合わせをした上で、店のレジや財布にあった現金を渡したり、厨房機器を破壊させたりするなど、強盗事件が起きたかのようにみせかけました。 となると、「実際の被害」がないので、罪に問われることはないのでしょうか。 「110番通報をして、警察が被害を確認し、強盗事件として認定されないといけないので、ドラマでも110番通報をしています。まず、ウソの110番通報をした時点で軽犯罪法第1条16号違反(虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者)になります。そしてその結果、刑事が聞き込みをしたり、現場検証や防犯カメラの解析をしたりしましたが、こうした無駄な捜査をさせれば、警察の業務を妨害したとして偽計業務妨害罪が適用される可能性があります」(元捜査1課刑事・佐々木成三さん) 偽計業務妨害罪の罰則は「3年以下の懲役、または50万円以下の罰金」です。 「偽装強盗」以外でも、たとえば、SNSに「駅に爆弾を仕掛けた」などとウソを書き込み、電車が止まるなどした場合も「偽計業務妨害」にあたる可能性があります。