広島の陸の玄関口 スケールアップ JR広島駅ビル3月24日開業
新しいJR広島駅ビル(広島市南区)が3月24日に開業する。ビル2階に乗り入れる路面電車の「駅前大橋線」も夏ごろに開通し、中四国地方最大の「陸の玄関口」が大きく姿を変える。施設を紹介するとともに、建設やまちづくりに関わる2人に思いや期待を聞いた。 【写真や図解、地図など計8枚】新しいJR広島駅ビルのフロア構成など
階段状テラスやカフェ、ホテル、シネコンも 地上20階建て新駅ビル
新駅ビルはJR西日本が600億円をかけ、2020年から整備を進めてきた。地上20階地下1階建て。旧駅ビルの広島アッセ(地上7階、地下1階)から大きくスケールアップする。 地上6階から地下1階には商業施設ミナモアがオープン。西日本初、中四国初の飲食やファッションなど200店近くが入る。3千人規模の新規雇用も生む。「全館カフェ」をコンセプトに2階の吹き抜け空間には広島の水辺の雁木(がんぎ)をイメージした階段状のテラスができ、ビル内に乗り入れる路面電車を眺められるようになる。屋上には広場も設けられイベントも楽しめる。 西側7~20階はホテルグランヴィア広島サウスゲート(380室)、シネコンは東側7階にオープンする。JR西日本広島支社の広岡研二支社長は「日常使いから特別な日までライフシーンに応じて利用してもらえる」と胸を張る。 駅ビルの建て替えは、市とJR西、広島電鉄が連携して取り組む広島駅南口広場(南区)の再整備事業に含まれる。1階ではバスターミナルが拡充され、25年夏ごろには駅前大橋線が開通する。全体の事業は28年度に完了する見込み。
歴史や暮らし建築に反映 JR西日本広島駅ビル工事所副所長 田原潤一さん(44)
新駅ビルの建て替え全体を統括する。「地元の人に愛される駅ビルにする」との思いを胸に、大規模工事の安全に心を配り、駅構内や周辺道路の通行をできるだけ妨げないよう調整してきた。 広島市佐伯区出身。市中心部の高校に自転車でいくつも橋を渡って通った。県外の大学に進み、川が流れる広島の良さを感じるようになった。1階の床材は川砂の色を再現。外壁はタイルで川面のきらめきを表現した。 2007年に入社後、大阪駅(大阪市)直結の商業ビルや広島駅の橋上化、新白島駅(中区)などに携わった。街の玄関口の建築には「地域の歴史や市民生活の営みを反映させたい」と語る。 広島駅南口の再整備は市や広島電鉄との連携も重要な仕事。「多く人の努力の積み重ねで完成できる」と力を込める。