トップ交代! ポルシェ・タイカン・ターボGTへ試乗 怒涛の1108馬力 真っ当な「GTシリーズ」か
ポルシェの「GT」として真っ当か
ポルシェは、モデルを進化させる過程で、GTを名乗る高速仕様を追加してきた。タイカンにGTが登場しても、まったく不思議ではない。ただし、2019年に1100馬力超えのターボGTを発表していたら、暴力的な速さへ否定の声があがった可能性はある。 【写真】怒涛の1108馬力 ポルシェ・タイカン・ターボGT ヴァイザッハ・パッケージ 競合クラスの電動サルーンと比較 (154枚) 同社は、タイカンの限界を探求したと主張するかもしれない。しかし、ロータス・エメヤ Rやテスラ・モデルS プレイド、ポールスター5などが、強く意識されたことは間違いないだろう。 AUTOCARでは、モデルS プレイドの動力性能を実際に確かめている。0-100km/h加速は2.4秒で、最高速度は257km/hだった。対するタイカン・ターボGTは、特別なボタンを押す必要はあるが、2.1秒と305km/hが主張されている。 イーロン・マスク氏は、ドイツ・シュツットガルトの技術者を軽視しない方が良い。テスラ・ロードスターには、さらなる努力が必要になるだろう。 それではタイカン・ターボGTは、ポルシェの「GT」として真っ当なのか。ニュルブルクリンクとラグナセカ・レースウェイで、ラップレコードを更新したと同社は主張する。だが発表の場に、部門を率いるアンドレアス・プロイニンガー氏はいなかった。 恐らく彼は、他のGTシリーズと同列にはしたくないと、考えているのではないだろうか。911 GT3や718ケイマン GT4などと。 ポルシェも、それらとタイカンのターボGTとの間に、一線を引いているような気がする。BMWが、本物のMモデルと、Mパフォーマンスを区別するように。詮索するようではあるけれど。
ターボSと同モーターで1108ps ヴァイザッハなら2220kg
2基の駆動用モーターはタイカン・ターボSと同じ。駆動用バッテリーも同じ。900Aの大電流を許容するインバーターを備え、リアには強化された2速ATが組まれるが、基本的に特別なアイテムは採用されていない。 とはいえ、スペックに不足はない。フォーミュラEマシンの技術を応用した、パワーコントロール・ソフトウェアを実装。最高出力1108ps、最大トルク136.3kg-mという、桁違いの動力性能を獲得している。フルパワーは、短時間しか引き出されないが。 シャシー回りでは、タイカンとして唯一、カーボンセラミック・ブレーキを標準装備。専用チューニングの、ポルシェ・アクティブ・ライドと呼ばれるアダプティブ・ダンパーが組まれる。 見た目を差別化するのが、専用のボディキット。アルミホイールは21インチの鍛造だ。タイヤはピレリPゼロで、ターボGTのために開発されたという。車内には、カーボン製バケットシートが2脚載る。 車重はターボSより5kg軽い。基本的に2t超えだから、小さな違いとはいえるだろう。それでも、無償オプションのヴァイザッハ・パッケージを組めば、更に70kgダイエットでき2220kgに仕上がる。 これには、リアのカーボン製ウイングとアンダーボディ・パネルなどが含まれる。防音材は削られ、窓ガラスも肉薄になる。2基ある充電ポートは1基になり、電動アクチュエータが省かれ、リアシートとボーズ社製サウンドシステムも載らない。