学生時代の先輩から言われるがまま生命保険に加入しました。このまま加入していたほうがいいのか、解約して投資に回したほうがいいですか?
生命保険は、万が一の事態が発生したときに備えて加入するものです。したがって、十分な検討なしに安易に解約するのは、リスクへの備えができないことだけでなく、大きな損失につながる可能性があります。 本記事では、生命保険をそのまま加入し続けたらよいか、それとも解約したらよいかについて、そのポイントを解説します。
保険解約したときに戻ってくる「解約返戻金」について
生命保険のなかには、解約するとそれまで支払ってきた保険料の一部が契約者に払い戻される「解約返戻金」が発生する契約があります。 これは、解約したときに、今まで払い込んだ保険料総額から、生命保険会社の運営費用などを差し引いた金額から支払われるものです。したがって、通常は今まで払い込んだ保険料総額よりも少ない金額となります。 しかし、終身保険や養老保険、学資保険などのように保険期間が長く貯蓄性の高い保険は、解約返戻金がありますが、解約返戻金がない「掛け捨て型」の保険もあります。 また近年では、保険料を安くするために保険料の払込期間中に解約するなどの条件によっては、解約返戻金が低く設定されている「低解約返戻金型」という商品もあります。この商品だと、保険料の払込期間中に解約すると払込保険料総額よりも解約返戻金が少なく、かなり損をしてしまいます。 したがって、保険を解約する場合には、ご自身の保険がどのタイプで、どれくらい解約返戻金を受け取ることができそうなのかを保険会社に確認することが重要です。
解約した場合の留意点
保険を解約した場合の主な2つの留意点について、以下で確認してみます。 (1)再契約 目先の解約返戻金ほしさに解約してしまうと、同じ条件で再契約することができなくなることにも留意が必要です。通常、保険料は加入時の年齢によって決まりますので、同じ保障内容の保険であれば、加入年齢が高くなればなるほど、保険料が割高になってしまいます。 また、加入後に病気にかかったり、通院していたりすると保険への加入自体ができなくなる可能性もありますので、留意が必要です。 (2)保障の空白期間が生じる 解約してしまうと、新しい保険に加入するまで、保障がまったくない空白期間が生じます。特に、被保険者が世帯主で、お子さんがいらっしゃる場合には、死亡保障がゼロになる期間が発生し、万が一に備えての保障がまったくなくなってしまうリスクが生じます。 また、そのリスクを回避するために、解約返戻金などを活用して投資で稼ごうという考えもありますが、必ずしも投資で利益がでるとはかぎりません。逆に大きな損失となる可能性もあります。したがって、保険金をカバーしようという投資行為は、避けることを推奨します。 もちろん、お子さんが独立して高い保障は不要になるなどライフステージの変化があった場合には、解約を選択する場合もあるかもしれません。また。付き合いで入っていた保険の保険料が高すぎるので、同等の保障で安い保険に乗り換えて、その差額を投資に回すなども考えられますが、いずれの場合にも十分な検討が必要です。
まとめ
生命保険を解約する場合には、解約返戻金がいくら戻ってくるのか、解約した際に生じるリスクは回避できるのかを総合的に検討したうえで行いましょう。特に、保障がゼロになる空白期間のリスクを回避するために、解約返戻金を投資に回すといったリスクの高いことは避けたほうがよいでしょう。 ただし、契約者や被保険者のライフステージや加入時の状況などにより、対応は異なってきますので、解約の検討の際には、ファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談することをおすすめします。 執筆者:堀江佳久 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部