【解説】中東緊迫化 「報復の連鎖」か…戦闘拡大の可能性、ガザ情勢への影響は?
■中東戦争へ拡大する可能性は…
――今の話を踏まえ、ポイント2つ目なのですが、今後、報復合戦になり「中東戦争へ拡大」する可能性はあるのでしょうか。 田中浩一郎教授 「もちろん、それが第5次中東戦争なのではないか…という声もあるのですが、当座のところ、イラン側に加勢する国はおそらくない。それから非国家主体とされている武装組織などは動くとしても、国としてイランに加勢する国はおそらくないとみられます」 「また、イスラエルの側に積極的に加勢する国も…域外国であるアメリカ、イギリス、フランスなどが仮に出てきたとしても、域内にはおそらくないので、もっぱら撃ち合うのはイランとイスラエル、そこにアメリカなどが割って入るというような格好ではないかと…。これは本当にエスカレートした場合(の話)です」
■アメリカは止められる? バイデン大統領「報復に反対 反撃に参加せず」
――そのエスカレートする前に…3つ目のポイントである「アメリカはイスラエルを止めることができるのか」、この点についてはどうでしょうか。 田中浩一郎教授 「バイデン大統領が『これで終わりにしておけ』というような感じで(イスラエルに)言ってはいるようですが、10月7日以降のガザに対する攻撃などを見ても、ネタニヤフ首相はほとんどバイデン大統領の言うことを聞いていません」 「今回のケースはまさにイスラエルが被害をまた受けた、ということでもありますので、これで“行動を起こさないリーダー”と見られることも、やはり政治家としてはできないと(思います)」
■ガザ情勢への影響は…?
――一方で、イスラエルが侵攻を続けているガザ情勢への影響はどう考えますか? 田中浩一郎教授 「イスラエルが仮に、ガザの情勢をとにかく自らの手で終えたい…特に彼らが思うように“イスラム組織ハマスをせん滅するんだ”というようなことを追求するのであれば、イランとの戦いに深入りすることはおそらくできないと思います」 「ただ一方で、アメリカが言うようにイランへの報復を思いとどまるということになれば、逆に今度は“アメリカ側の言うことを聞いたんだからガザの件に関しては黙っていろ”ということで、より強烈なガザ攻撃、特に南部ラファへの地上侵攻などに乗り出す危険性はあるとみています」