【解説】中東緊迫化 「報復の連鎖」か…戦闘拡大の可能性、ガザ情勢への影響は?
イランがイスラエル国内に向けて行った大規模な攻撃。これにイスラエル側が報復攻撃に出るのか、世界が注目しています。 今後について「イスラエルの反撃は?」「中東戦争へ拡大か」「アメリカは止められる?」といった3つのポイントで整理しながら、中東情勢が専門の慶応大学・田中浩一郎教授とお伝えします。
■イスラエルの反撃は…? ネタニヤフ首相「危害を加える者 誰であろうと反撃」
――まず「イスラエルの反撃」ですが、ネタニヤフ首相は「我々に危害を加える者には誰であろうと反撃する」と発言しています。一方で、イラン側は、「報復があれば次の作戦はさらに大規模なものになるだろう」と警告しています。今後、イスラエルによる反撃は、あるのでしょうか。 慶応大学・田中浩一郎教授 「私はあると思っています。イスラエルは攻撃を受けたりしたら、それに対して10倍、100倍返しをすることで、相手に今後とも、それ以上攻撃させないようにするというある種、非常に強い力と意思を見せることを旨としてきています」 「今回、さほどの被害を受けなかったとはいえ、イランがこういう攻撃能力を持っているということを誇示したわけでもありますので、イスラエルが行動を起こすことは、私は必然、ないしは必至だとみています」
――イランの軍事力から考えて…イスラエルは、イランに対して10倍100倍の報復攻撃をする能力は持っているのでしょうか? 田中浩一郎教授 「そこまではさすがに遠方でもありますので、一度にはできないと思います。単独でもそれは難しいことだと思います。ただ一旦、イランとイスラエルとの間で交戦状態となればですね、それは“アメリカを動かすことができる”というふうに、イスラエルのネタニヤフ首相は計算していると思います」 ――もう一つだけ。イスラエルが反撃するのではないかと、田中さんがそう考えるのはどういう理由からなのでしょうか。 田中浩一郎教授 「やはり敵にこのような攻撃を受けたということを、そのまま放置しておくということは、特に国家本土を攻撃された側としては、やはり放置できないわけです。戦争というのはそういうもので始まるわけですが…もちろんイランも国土に等しい大使館を破壊されたと、そして多くの軍人を失ったということから報復、反撃をしたわけですが、それと同じ論理なんですね」