衆院選自民党攻防ライン

15日に公示された第50回衆院選（定数465）は、派閥政治資金パーティー収入不記載事件の影響が直撃する自民党がどの程度の議席を維持するかが焦点だ。石破茂首相（自民総裁）は、連立政権を組む公明党と合わせ過半数の233議席を獲得する目標を掲げるが、安定した政権運営には自民単独過半数の獲得が必須と見る向きが多い。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 今回の衆院選で公明が公示前の32議席を維持すると仮定すれば、首相が公言する「自公過半数」に届かせるには、自民は201議席（公示前比55減）を獲得すればよいという計算になる。ハードルを極めて控えめに設定したのは、不記載事件によって「状況が極めて厳しい」（首相）と判断した結果にほかならない。 最近の衆院選での自民の戦果と比べても、201議席というラインはかなり低めだ。自民は令和3年衆院選で261議席、平成29年衆院選で284議席、26年衆院選で291議席、24年衆院選で294議席を獲得しており、いずれも公明抜きで過半数に達した。今回の衆院選で自公過半数をぎりぎりでクリアしたとしても、党勢退潮を招いたという批判は避けられず、首相の求心力が低下するのは必至といえる。 そこで、政権運営の行方を占うラインとして注目されるのが、直近4回の衆院選で達成した「自民単独過半数」を占めることができるかどうかだ。今回の衆院選で自民が過半数、公明が公示前と同数の議席をそれぞれ得たならば、合わせて265議席となり、安定的に政権を運営できる指標の「絶対安定多数」（261議席）を上回る。 一方、立憲民主党などの野党は、首相の目標の裏返しである「自公過半数割れ」を狙って攻勢を強める。ただし、野党間に具体的な連立政権合意はない。仮に自公過半数割れが起きた場合は、自民と立民を中心に、連立パートナーの争奪戦が展開されることになりそうだ。（松本学）