【辛酸なめ子さん】団塊ジュニアの就職氷河期世代、50冊以上の著書は「ネガティブシンキングからの脱却」の記録。
今回のゲストは、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんです。辛酸さんは、大学在学中から漫画を描き始め、パルコ主催のGOMES漫画グランプリでGOMES賞を受賞。漫画と並行して独自の視点からさまざまなカルチャーを考察するコラムも人気を集め、執筆テーマは時事ネタ、皇室、スピリチュアル、ドラマ、人間関係など幅広く、連載も多数かかえています。 撮影は、辛酸さんにゆかりのある神田明神で行われました。「生まれたのが御茶ノ水の病院で、勝手に縁を感じています。お参りして運気を上げたい時、パワースポット好きの友人と会う時などによく訪れています」。撮影中は雨予報だった天気が曇りに変わり、スタッフ一同不思議な力を感じずにはいられない瞬間でした。 前半では、7月に出版した最新著書『川柳で追体験 江戸時代 女の一生』(三樹書房)について話を聞きます。江戸時代の女性たちの生き様から受け取る現代女性へのエール、恋愛や性のあり方、サスティナブルな江戸の暮らしについて、辛酸さん目線で解説します。また今年で50歳を迎える辛酸さんに自身の半生を振り返ってもらいました。ネガティブ思考から少しずつ抜け出せた“書く”ことの意味とは。(この記事は全2回の第1回目です)
江戸時代の庶民は「川柳」をSNSのように駆使して生活を発信していた
『川柳で追体験 江戸時代 女の一生』は、三樹書房のホームページで2014年から連載されていたコラムを一冊にまとめた本です。川柳は五・七・五の十七音で詠まれた句で江戸時代に誕生しました。口語文で季語も不要のため、その自由なスタイルから今の時代のSNSのように庶民に親しまれてきました。川柳から江戸女性の生き様を知り、現代と比較しながら辛酸さんが考察します。 「江戸時代の庶民の生活がリアルに見えることで、なかなか知り得ない先祖の生活を知ることができて楽しかったです。今ならできないような風習があり、当時はたくさんのルールに縛られていたんだなと思います。 例えば、結婚したらお歯黒にする、眉毛を剃り落とす。お歯黒に使う“かね”(鉄漿)水は、隣近所7軒から集めなくてはいけなかったりして、衛生面を考えると、それにご近所付き合いが少ない現代は、実際にやるのが難しいだろうなと思いました。お歯黒は見た目はかなりホラーに見えますが、男の人は女性をどう見ていたんでしょう、とも。お歯黒が実は虫歯予防になったというエピソードは実用的だと思いました。私が虫歯に悩まされているので……その点は羨ましいです」