【岸田首相、年金世帯への給付金を検討】老齢年金世代にあたる65歳以上夫婦世帯の「貯蓄額・年金額・生活費」はいかほどか
一般的な高齢者夫婦世帯の「生活費」は毎月4万円の「赤字」に…
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支は下記のとおりです。 ・実収入:24万4580円 ・可処分所得:21万3042円 ・消費支出:25万959円 ・不足分:3万7916円 実収入24万4580円に対し、可処分所得が21万3042円。税金や社会保険料が3万1538円ひかれていることがわかります。 可処分所得、つまり手取り収入21万3042円に対する生活費(消費支出)は25万959円で、毎月3万7916円の赤字となります。 この赤字を補填するために「毎月約4万円」は最低限確保しておかなければいけません。10年間で480万円、20年間で960万円、30年間で1440万円となります。 ただし、赤字がより膨らむ可能性があることも想定しておく必要があります。 少子高齢化が深刻な問題となる日本では、社会保険料が年々上昇しています。 公的年金は毎年度見直しが行われており、2024年度は2.7%の増額となりましたが、物価上昇率を下回っており実質的には目減りです。 収入が増えない中、社会保険料の負担増により可処分所得が減れば赤字はより大きくなるでしょう。 また年齢を重ねるごとに医療費の負担が増えたり、介護費用が発生したりなどの可能性も高まります。 こうした可能性も考慮しながら、老後資金を準備していきましょう。
将来に向けた準備について
今回は65歳以上の無職世帯における貯蓄額や、その内訳について確認してきました。 資産の保有額は世帯によって大きな偏りがあり、4000万円以上保有している世帯もあれば、100万円未満の世帯もあるといった現状が明らかになりました。 また、家計収支に目を向けると、平均的に毎月4万円の赤字となっていました。これはあくまで「現状」の数字です。 物価高騰や年金受給額の変化によって、月の収支の不足額はこれまで以上に大きくなるかもしれません。そういった事態に備えるべく、しっかりと自助努力で資産を作り上げていく必要があります。 とはいっても、なかなか自分ひとりで老後の生活をイメージするのは難しいと思われます。そんな時はプロの力を借りてみるのも一案です。 自分自身の理想の老後生活を伝え、一緒にプランニングしてもらうことで、具体的に必要資金の金額がイメージできます。ゴールが決まったら、そこから逆算することで「今から何をすべきか」が見えてくるでしょう。 コツコツ貯蓄をすれば安泰なのか、いま注目を集めている新NISAをはじめとした資産運用を行うのか。全てはゴールを設定することから始まります。気になる方は、一度取り組んでみてはいかがでしょうか。 ●ご参考 老後対策を進めるうえで、ある程度の年金収入を想定しておく必要があります。 実際の年金受給額は現時点ではわかりませんが、見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」にてご確認いただけます。 また、厚生労働省の公的年金シミュレーターで、リタイアまでの働き方を想定して試算することも可能です。 年金見込額が把握できたら、税金や社会保険料が天引きされ手取りは90%前後になると考えておきましょう。
参考資料
・総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」 ・総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2023年(令和5年)平均結果の概要 (二人以上の世帯)」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
荻野 樹