<御嶽山噴火>「登山届」を出すメリットは 提出を義務づける動きも
9月27日に噴火した御嶽山(長野県・岐阜県境、標高3067メートル)。これまでの噴火による死者は56人、行方不明者は7人となっています(10月14日現在)。これは、1991年と93年に合わせて44人の死者・行方不明者を出した雲仙・普賢岳(長崎県)の火砕流被害を超え、戦後最悪の火山災害です。 [動画で解説]冬山登山の魅力と遭難しないための心得 警察や消防、自衛隊による不明者の捜索が15日、3日ぶりに再開されました。しかし、事故発生当日、登山者の多くが「登山届」(登山計画書)を提出しておらず、登山客の正確な人数や個人名の把握に難航。安否不明者数に関する情報が錯綜し、混乱を招いてしまいました。
災害時に不明者の捜索がしやすく
そもそも登山届とは、登山者の氏名や年齢、連絡先、登山日程・ルート、携行する装備・食料などを記入し、事前に提出する書類のこと。多くの自治体は登山届の提出を義務づけていませんが、谷川岳(群馬県)と剣岳(富山県)に関しては、条例に基づく登山届の提出義務があります(いずれも規制期間内のみ)。2013年3月には、谷川岳に登った男性3人が登山届を提出していなかった事実が発覚し、書類送検された例もあります。 登山をしない人には聞きなれないかもしれない登山届ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。 登山届には、あらかじめ登山ルートを記載します。ルートが判明していれば噴火などの被害発生時に、捜索個所を絞りやすいメリットがあるからです。さらに、服装やテントの色なども記入しておけば、行方不明者の捜索時に目撃情報を得られることが見込め、早期発見につながることも。また、計画書を作成することで、登山計画に無理がないかを改めて見直す機会にもなります。結果、遭難を未然に防ぐ可能性が高まるというわけです。 今回、御嶽山のケースで登山届を提出していなかった登山客が多かった背景には、登山の難易度が関係しています。長野県が公表するサイトでは、御嶽山が日帰り可能な難易度の低い山とされており、気軽に入山する例が少なくなかったからという見方もあるのです。