<御嶽山噴火>「登山届」を出すメリットは 提出を義務づける動きも
インターネットでも提出OK
登山届は、登山口に設けられている登山届専用のポストに備え付けられていますが、管轄の警察署や自治体のサイトからダウンロードすることもできます。入山前に登山届専用のポスト投函、もしくは管轄する県の警察本部地域課、警察署、交番・駐在所などに郵送や持参して提出しましょう。ただし、管轄警察署は土・日・祝日の確認を行っていないので、入山の1週間前など余裕を持った提出が必要です。 また、自治体によってはインターネット上で登山届を申請できる地域もあるので、時間がない人はそちらを利用しましょう。万が一、遭難した場合の早期救助に備え、登山届は家族や友人、職場、学校などにもコピーを渡しておくこともお忘れなく。
「登山届」提出率の実態は
今回の事故を受け、各メディアでは、「登山届の提出率の低さ」が問題視されていますが、提出率はどの程度なのでしょうか? 公益社団法人・日本山岳協会に話を聞いてみました。 「正直、全国の山で提出率がどのくらいなのかを把握することは難しいです。北は北海道から南は沖縄まで、日本には1万5000以上の山が存在します。提出された枚数を数えることは可能かもしれませんが、登山届を出さないまま登る人は多くいます。登山届の提出率が『○割程度』と報じているニュースもありますが、実際は分母がわからないので、それを算出するのは無理に等しいのです」 富士山や尾瀬では、入山客を計るカウンターを設置しているため、それと入山届を比較すれば提出率を割り出すことは可能でしょう。しかし、全国規模ともなると、正確な数字は分からないのが実態です。
今年12月1日からは北アルプスの登山者に登山届の提出を義務づける山岳遭難防止条例が岐阜県で施行されます。対象は、以前から遭難者が多い北アルプスに限られていますが、同県の古田肇知事は今回の事故を受け、岐阜県側からの御嶽山登山者に対しても、登山届の提出を義務化できないか検討する考えを明らかにしています。 御嶽山は北アルプスに含まれておらず、今まで遭難が少なかったこの山を対象とするには、条例の改正を議論する必要があります。そのため、当面の義務化は難しいとの見解が現状のようです。 (播磨谷拓巳/ノオト、取材協力/日本山岳協会)