【レジェンドインタビュー】山田久志(元阪急) 阪急4連覇を知る男「やっぱり3連覇するチームはバッテリーを含めた守備力が高いんですよ」
チームを大局的に観察している中嶋監督
隙のない野球でオリックスは2016~18年の広島以来となる3連覇を達成した
1975年からリーグ4連覇、日本シリーズ3連覇を果たしたオリックスの前身球団・阪急。その黄金時代にエースとして君臨したのが通算284勝のサブマリン・山田久志氏だ。本当の強さを知る山田氏にパで21世紀初の3連覇を成し遂げたオリックス、優勝を重ね続けるために必要な条件などを語ってもらった。 ※取材・構成=小林光男 写真=佐藤真一、BBM ――オリックス3連覇の紛れもない立役者は中嶋聡監督です。山田さんは2021年、中嶋監督が監督代行から監督に昇格する際、背中を押したそうですね。 山田 そんなに大げさなものではないですが、中嶋監督は「自分は監督というタイプではない」ということを口にしていましたから。確かに私は現役時代、中嶋監督とバッテリーを組んでいて監督をやるようなタイプには見えませんでした。ただ、現役時代に西武、横浜(現DeNA)、日本ハムと渡り歩いた経験は大きかったと思います。いろいろな監督と接し、勉強になった面は多々あったでしょう。現役引退後、日本ハムでコーチを務めているときも非常に優秀だという話を聞いていましたから。それで指導者としてオリックスに戻ってきて。監督というものはやりたくてもやれるものではない。監督就任時には2年連続最下位でしたし、「思い切って、好きにやればいいのではないか」と言葉をかけましたね。 ――「スタッフは大事だから、彼らを大切にしなさい」という話もしたそうですね。 山田 そうですね。自分がやりたい野球をやるにしても、スタッフが理解してくれないとできないものですから。今のオリックスはチーム一丸でうまくまとまっています。スタッフが任された役割を一生懸命に果たしているように見えます。 ――2019年に就任した福良淳一GMの手腕も大きいのでは。 山田 フロントと現場が一体となっています。福良GMの存在は大きいでしょう。湊通夫社長といろいろ話をしているようですし、中嶋監督との関係も雰囲気がいい。両者の懐に入って、調整役をやっているように感じます。フロント、現場の意思疎通がしっかり取れて、それが的確な補強にもつながっていくのでしょう。 ――中嶋監督は「全員が戦力」と信念を口にしていますが、しっかりと戦力を使い切っている印象です。 山田 使っているというより、よく選手を観察していますからね。今のチームに必要な戦力は誰か、これからのチームに必要な戦力は誰か、と。大局的にチームを見ることができている。監督にそういう視点がなければ3連覇なんてできません。 ――確かにそうかもしれません。 山田 ただ、オリックスが異質なのは・・・
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週刊ベースボール