友近 どちらかといえば「火サス」より「土ワイ」派だった私。『乱歩好き』を公言し続けたことで得た素晴らしい経験とは
NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」にも出演のお笑い芸人の友近さん。芸歴50周年の演歌歌手 水谷千重子、ピザ屋で働く中高年プロアルバイター 西尾一男など、鋭い洞察力と表現力で数々の役を演じ、お茶の間に笑いを届けています。今の友近さんを作り上げた、お笑いの原点とは。友近さんいわく、「子どもが観てはいけない大人のドラマを観るのが好きだった」そうで――。 【写真】「友近ワイド劇場 黒蛙の美女」のポスター * * * * * * * ◆大きな影響を受けた「土曜ワイド劇場」 子どものころから、子どもが観てはいけない大人のドラマを観るのが好きでした。 なかでも取り分けて大好きで、大きな影響を受けたのが「土曜ワイド劇場」です。 「2時間ドラマ」「2時間サスペンス」は、全盛期は民放各局で制作されていたし、時代、時代に、いろいろなシリーズがありました。 そんな一大勢力を誇った2時間ドラマ枠のなかでも、老舗中の老舗といえば、テレビ朝日の「土曜ワイド劇場」、通称“土ワイ”と、日本テレビの「火曜サスペンス劇場」、通称“火サス”でした。 「火曜サスペンス劇場」は主題歌である岩崎宏美さんの「聖母たちのララバイ」「家路」など、大ヒットソングが流れるなかで、エンドロールが上がっていくメジャー感がありましたね。 それに比べて「土曜ワイド劇場」は画面も暗く、圧倒的に淫靡(いんび)な作品が多かった。 でも、私はそういうところに惹かれてしまうわけで、「土曜ワイド劇場」派となったわけです。 この派閥意識はいまだに強く、「2時間サスペンスみたいやね」とたとえるとき、「♪ちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃーらー」と「火曜サスペンス劇場」のテーマを口ずさむ人がいると、「あ、そっちか」と、と思っちゃいます(火サスも好きですよ!!)。もちろん、心の中だけで口にはしませんが、そこは厳しくやらせてもらってます!
◆「江戸川乱歩の美女シリーズ」 それくらい「土曜ワイド劇場」への思い入れが激しい私が、特に惹かれたのが「江戸川乱歩の美女シリーズ」でした。 天知茂さん演じる眉間にシワの明智小五郎に、小川真由美さんの妖艶な黒蜥蜴。 豪華な調度品があしらわれた洋館の中で、三ツ矢歌子さん、叶和貴子さん、夏樹陽子さんといった絶世の美女たちがおどろおどろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていくあの世界観! 本当に見てはいけないものを覗き見るような背徳感で、ドキドキワクワクしながら観ていたものです。
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