無資格で法律事務疑いのグループ、元衆院議員の弁護士に名義貸し依頼
弁護士名義を貸し、詐欺の被害金回収をさせたとして元衆院議員で弁護士の今野智博容疑者(48)が弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕された事件で、弁護士資格がないのに法律事務をしたとして共に逮捕されたグループが、今野容疑者に名義を貸すよう持ちかけていたことが捜査関係者への取材でわかった。 【写真】容疑者らが、詐欺被害者からの電話を受ける拠点として使っていた部屋が入る雑居ビル=2024年6月25日午後4時2分、東京都港区新橋5丁目、福冨旅史撮影 警視庁は元議員の肩書を使い、弁護士とグループが共謀して金を得ていたとみている。グループは特殊詐欺集団との関わりが疑われるという。 ■「うちの先生は元国会議員ですよ」 捜査2課によると、このグループの10人は東京都内で昨年12月~今年1月、SNS型投資詐欺や特殊詐欺などの被害者5人に被害金返還請求のための助言をし、着手金計約280万円を受領した疑いがある。今野容疑者は10人に自身の弁護士名義を利用させた疑いで、共に6月12日に逮捕された。東京地検は7月2日、今野容疑者ら3人を起訴し、8人を不起訴処分(起訴猶予)にした。 捜査関係者によると、特殊詐欺の捜査の過程でこのグループが浮上。グループのうち弁護士事務所での勤務経験がある辻直哉容疑者(51)が、知人を通じて今野容疑者と知り合い、詐欺被害金の回収をうたって着手金を受け取るビジネスを持ちかけたという。辻容疑者らは「今野法律事務所」のスタッフを名乗って非弁活動をしたが、今野容疑者は止めなかったという。 辻容疑者らは、詐欺に遭った被害者から相談があると、「うちの先生は元国会議員ですよ」などと伝えて信用させ、着手金を受け取っていた。着手金の1割は今野容疑者が受け取り、残りは分配したという。(福冨旅史、三井新)
朝日新聞社