東京ヴェルディが故・藤川孝幸氏の思いと共にJ1参入PO1回戦突破!
カズをはじめ日本代表選手を何人も擁したスター軍団は、日々の練習から激しい火花を散らし合うことでも知られていた。タックルされたことに激怒したラモスが、紅白戦の最中に若手と取っ組み合いの喧嘩を始めるのは日常茶飯事。個性派軍団のゴールを守った藤川さんは、特にPKストップで名を馳せた。 「昔は本当に負けず嫌いな選手が多かったと聞いていますし、そういう方々がいたからこそいまのヴェルディがあると思っています。藤吉コーチにはすごくそういう(藤川さんのために、という)気持ちがあったはずですし、それを汲んで戦えたのはよかったと思う。公式戦はもちろん、練習ひとつを取っても絶対に負けたくない気持ちで臨むことは、昔から変わらないヴェルディの伝統なので」 黎明期に力強く脈打った伝統は世紀をまたぎ、しっかりと受け継がれていることが井上の言葉からもわかる。そして、宣告された余命をはるかに超えて病魔と闘い、最後までSNSでメッセージを発信し続けた藤川さんの生き様は、バトンを託された後輩たちに勇気を与える。田村が力を込める。 「(退場者が出たときは)正直、厳しいかなと思いましたけど、守りに入ったらやられてしまうので。僕たちは挑戦者だし、積極的に行ったことで大宮さんに流れを渡さずに上手く戦えたと思う」 リーグ戦を3位で終えた横浜FCのホーム、ニッパツ三ツ沢球技場に乗り込む来月2日の2回戦も勝たなければ先に進めない。同8日に再び敵地で待つ、J1の16位チームとの決勝も然り。11年ぶりのJ1復帰へそびえる高く険しいハードルが、逆にヴェルディを燃えたぎらせる。藤川さんに負けられない、と。 (文責・藤江直人/スポーツライター)