PCR検査「やる気がなかったわけではない」首相会見、追加給付は明言せず
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の「緊急事態宣言」が5月末まで延長されることが4日、決まった。首相官邸で会見した安倍晋三首相は、外出自粛などへの国民の協力に謝意を示したが、感染状況を把握するためのPCR検査の強化、感染対策の「出口戦略」、宣言延長に対する追加支援などについて会見では明確に打ち出すことはなかった。 【動画】安倍首相が会見 「緊急事態宣言」5月末まで延長
●PCR検査
会見開始から1時間ほどたった最後の質問に、安倍首相は色をなして反論した。 「もちろん本気でやる気がなかったわけではない。私は何回も能力を上げていく(と言ってきた)。実際能力は上がっている」 質問したのはニュース専門ネット局代表の神保哲生氏。新型コロナウイルスへの感染を判定するPCR検査をめぐっては、安倍首相が1日の検査能力を「1万5000件まで上げた」「2万件を目指す」などと誇示するものの、実際の実施件数は1日7000~8000件にとどまり、他の経済協力開発機構(OECD)諸国に比べて圧倒的に少ない。こうした現状を踏まえて「これまで本気で増やそうとしてこなかったのか。本気で増やそうとしたのに増えなかったのか」と迫った。 安倍首相は冒頭の発言に続けて「国としてできることは予算をつけて能力を上げる。1万5000(件に)能力を上げたら、1万5000人分いくかといったら、残念ながらそうはなっていない」と釈明。 医師会の協力の下、東京など大都市を中心に全国で20か所のPCR検査センターを設置する取り組みを挙げた上で、「そういう体制をつくっても、それをやる人的な目詰まりもあった」などと説明し、全力を上げて対応していくとした。
●出口戦略
安倍首相は会見の冒頭発言で、最初の緊急事態宣言から1か月間にわたる外出自粛などへの国民の協力の結果、新規感染者数や実効再生産数が下がったことを報告し、感謝した。 「緊急事態を宣言した4月上旬、1か月後の未来について欧米のような感染爆発が起こるのではと悲観的な予測もあったが国民の行動は未来を確実に変えつつある」 「我が国は緊急事態でも欧米のような罰則を伴う強制的な外出規制はできない。それでも感染拡大を回避し、減少へと転じさせることができた。1人1人が強い意志で可能な限りの努力を重ねてくれた成果だ」 一方で、緊急事態宣言を1か月で終了させられず、さらに5月末まで延長する結果となったことについて「当初予定していた1か月で緊急事態宣言を終えることできなかったことはお詫び申し上げたい」と陳謝した。 長期戦になると国民に覚悟を呼びかけた感染防止対策の「終わらせ方」にも言及し、事業の本格的な再開のためには「1か月で現在の流行を収束させなければならない。5月は収束のための1か月であり、次なるステップに向けた準備期間だ」と訴えた。 さらに、新型コロナウイルスの存在を前提とした「新しい生活様式」をつくり上げることを打ち出し、経済社会活動と感染対策を両立させることを目指して「緊急事態のその先にある『出口』に向かって一歩一歩前進していきたい」と語った。 ただ「出口戦略」の具体的な数値基準には触れず、今後の取り組みに関連して「1日の新規感染者を退院・回復される方100人の水準以下に抑える必要がある」と述べた程度だった。