石破新政権の人事案:刷新感よりも安定感重視か:経済政策は岸田路線継承とアベノミクス脱却のパッケージ
30日に党役員人事、1日に閣僚人事を正式決定
9月28日に自民党の新総裁に選出された石破氏は、党役員と閣僚の人事を進めており、ほぼ固まりつつある。早期の解散総選挙を意識して党一体感を優先し、刷新感よりも安定感を重視した布陣になったとみられる。 総裁選候補者を積極的に登用することで、党内の結束を重視する姿勢をアピールする。また、党内に大きな影響力を持つ、菅元首相、岸田首相の意向にも配慮しているのではないか。 党役員人事は30日(月)に、新閣僚人事は1日(火)に正式に発表される。党運営の要である幹事長には、旧森山派会長の森山総務会長が起用される見込みだ。豊富な政治経験や幅広い人脈を持つ森山氏を幹事長に据えることで、安定した党運営を行い、早期の解散総選挙に備える意向ではないか。 他方、選挙対策委員長には総裁選を戦った小泉元環境大臣を起用する方針が固まった。早期の解散総選挙を主張してきた小泉氏を選挙対策委員長に据えることで、選挙準備を迅速に進めるとともに、小泉氏を支持する若年・中堅層の支持を取り付ける狙いがあるだろう。現在の対策委員長である小渕優子氏は組織運動本部長に起用される見通しだ。 総務会長には麻生派の鈴木財務大臣、国会対策委員長に旧森山派の坂本農林水産大臣、政務調査会長には旧岸田派の小野寺元防衛大臣を充てることが固まった。 副総裁には重鎮である菅前首相が内定と報じられている。麻生副総裁の後任となるが、党内のパワーシフトを象徴する人事となる。ただし、麻生氏は最高顧問となり、一定の配慮がなされる。 総裁選では第1回投票で1位となった高市経済安全保障担当大臣に総務会長のポストを示したが固辞された、と報じられている。高市氏は、閣僚ポストも固持したとも報じられている。また、高市氏同様に保守の代表格で、総裁選挙では旧安倍派からも支持された小林前経済安全保障相は、党広報本部長のポストを石破氏から打診され、固辞したと報じられている。閣僚ポストも固持したとされる。 特に高市氏は、次の総裁選を睨み、反石破の姿勢をアピールする狙いがあるのかもしれない。旧安倍派がそうした動きにどの程度同調し、反石破の勢力となっていくのかは、今後の政局を見るうえで注目されるところだ。