『MiMiNOKOROCK FES JAPAN』10周年前祝いは第1回目と同じく吉祥寺CLUB SEATAで パーカーズらが登場【ライブレポート】
“耳に残るロック”をコンセプトに、2015年に東京・吉祥寺でスタートしたサーキットライブイベント『MiMiNOKOROCK FES JAPAN』。年々会場数を増やし、また大阪でも開催してきたこのイベントが、2025年に10周年を迎える。すでにアニバーサリー・イヤーとなる2025年3月に『MiMiNOKOROCK FES JAPAN in 大阪』、6月に『MiMiNOKOROCK FES JAPAN in 吉祥寺』の開催がアナウンスされているが、それを前にスピンオフイベント『MiMiNOKOROCK Special Edition 2024』が11月22日に吉祥寺CLUB SEATAで開催された。ミミノコチームが注目する今見たいアーティストを厳選した今回の“Special Edition”では、UMEILO(ウメイロ)、Enfants(アンファン)、セカンドバッカー、パーカーズが登場。 【全ての写真】パーカーズらが登場した『MiMiNOKOROCK Special Edition 2024』(全17枚) さらにオープニングアクトとして2022年に軽音部のメンバーが集まって結成した4ピース高校生バンド、パキルカが出演した。自らを邦ロック勢の味変と呼び、ひと癖あるロック・サウンドを奏でるパキルカは、ダークな曲から「えなじ~ぽっぷ!」などひねりのあるノイジーな曲で、会場を温めた。 続いて登場したのは、北海道札幌発のギターロック・バンド、UMEILO。登場と共に勢いよく楽器をかき鳴らすと、そのまま疾走感のあるアンサンブルで「高空」、ダイナミックさを増して「ダーリン」へとエネルギーを迸らせる。UMEILOは同会場で行われた2019年の“Special Edition”にも出演しており、伊藤純輔(vo/g)は「また出られてうれしい」と語る。 情景を描いていくようなギター・サウンドと、繊細な柔らかさを持ったボーカルながら鋭い言葉ですっと心に切り込む歌でリスナーをとらえていくUMEILO。音楽は饒舌だがMCは苦手なようで、「信じてもらえないかもしれないですけど、4人中ふたりが普段コールセンターで働いているんです」(伊藤)と演奏時の雰囲気とは変わってボソリと語る姿にフロアから笑いが漏れる。 そんな不器用さを鮮やかに塗り替えていくように「水晶」や、渇きを埋めるようなバンドアンサンブルを響かせる「rouge」、そしてドラムとベースによるイントロダクションで心拍数を上げながら「幽灯」へと突入する。観客を引き込んでいくプレイに、自ずとフロアから手拍子が起こりラストはバースト感たっぷりに「LastSong」を放って、5年ぶりの“Special Edition”のステージを飾った。 この“Special Edition”では10代や若手のバンドの出演が多いが、そのなかで異色となったのはEnfants。2021年末に活動を終了したLAMP IN TERRENのフロントマン、松本大(vo/g)が中心となって新たにスタートしたバンドである。松本自身、「楽屋がすごくキラキラしていて……唯一、共通項があるとすれば前髪の長さくらい」とMCをしたが、重ねてきたキャリアにあぐらをかくことなくステージに、観客に真摯に向き合って、研ぎ澄ました、ヒリヒリとするギター・サウンドを放ち、「HYS」から叫びをあげていった。低音のベースがうねり、漆黒のグルーヴが加速する「デッドエンド」に観客は痺れるように体を揺らし、続くブリティッシュロックのきらめきと、繊細にして重厚なアンサンブルが冴える「Kid Blue」で体温を上昇させる。 手を上げたり、自由に楽しんでほしいと言いながら、「でもめっちゃ沈む曲やります」と「R.I.P.」からスタートした後半も観客を翻弄するように、アクセルを踏み込んで乾いた景色や風を感じさせたかと思えば、一転して無重力の空間を寄るすべなく漂うような「惑星」を甘美に紡いでいく。今回は出演バンド同様に普段のEnfantsのライブよりも観客の年齢層が若く、制服姿の学生の姿もあって、松本は「今後、また会えることがあるのかな」とは言ったが、迫力のあるサウンドといつの間にか記憶に侵食するような歌や叫びには普遍のエネルギーがある。ラスト「Play」で上がった大きな歓声がその答えだろう。