「56歳なんて洟垂れ小僧でいい」内野聖陽が役者一筋であり続ける理由
“楽しむ”という境地に到達してはじめて観客も喜んでくれる
仕事に対しエネルギッシュな人ほど、プライベートでは静かだと言うが内野さんはどうなのか。 「いや、プライベートでも貪欲なタイプですね。いろいろなことに挑戦してみたいという心はいつまでたっても持っていますよ。よく役者の後輩たちとも飲みに行くのですが、私が知らない話で盛り上がっていると『何々?』と話に入っていくタイプなんです。自分とは違う感性に触れることは楽しいですし、それ以上に気づかせてくれることが多い。誰かの熱量が私の熱量になる」 プライベートでも果敢に、役者に生きることは何でも吸収していく姿勢。そこまでして続ける役者の仕事は楽しいのか。 「楽しいだけじゃない。でも楽しまないといけない。演じている私たちが楽しまなければ、お客さんに楽しんでもらえない。役を〝play〟(演じる)することは同時に〝play〟(遊ぶ)することも必要だと考えています。だからたとえつらくても、私が楽しむという境地までもたどり着かないといけない。セリフを体得し、演じるキャラクターで自由自在に振る舞えるようになるまでには相当な努力が必要です。『ひとつひとつの役を楽しむこと』は常に役者として目指さなければならない目標だと捉えています」 内野さんは時折、取材記者に対しても「どういうこと?」と興味津々に質問を返していた。彼にとっては取材すら〝学び〟なのか。その貪欲さは底知れない。 ■葛飾北斎を熱演!映画『八犬伝』10月25日(金)より全国ロードショー (C)2024 『八犬伝』FILM PARTNERS. 日本のファンタジー小説の原点『南総里見八犬伝』。200年近くの時を超え、今なお愛され続ける名作を滝沢馬琴はどのようにして書き上げたのか。親友・葛飾北斎との奇妙な交流を描きながら、28年間の真実に迫る――。虚実が交錯する前代未聞のエンターテインメント超大作! ■内野聖陽プロフィール うちの・せいよう/学生時代に文学座付属演劇研究所へ入所し、1993年にTVドラマ『街角』でデビュー。2007年、NHK大河ドラマ『風林火山』で主人公・山本勘助役を演じて話題に。その後、多数の作品に出演し、役の幅広さから実力派俳優として名を馳せる。2024年放送のTVドラマ『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)では野心的な一面を持つ病院長・佐伯清剛役を演じ、賞賛の声を集めた。 取材・文/峯亮佑 撮影/須田卓馬 ヘアメイク/佐藤裕子(スタジオAD) スタイリング/中川原寛(CaNN)
@DIME編集部