母の死後「へそくり口座」を発見しました。残高「200万円」なのですが、下ろして使っても問題ないでしょうか? 口座凍結前に“葬儀費用”を引き出したいです
生前に財産の所在を明確にできていないと、相続財産の総額を正しく認識できず、遺産分割時のトラブルのもとになる可能性があります。 では、もし親の死後に「へそくり口座」が見つかった場合は、他の相続人に何も言わず勝手に下ろしてもよいのでしょうか。 本記事では、遺産分割前に親の「へそくり口座」が見つかり、「200万円」が入っていた事例をもとに解説します。ぜひ参考にしてみてください。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
他の相続人に無断で勝手にお金を下ろすのは避けるべき
亡くなった人の口座から、他の相続人に相談もせずお金を下ろすのは避けるべきです。理由としては、「遺産分割時のトラブルのもと」になりやすいからです。相続財産の金額や所在を透明化するためにも、へそくり口座を発見した際には、必ず他の相続人に存在を伝えるようにしましょう。
銀行口座凍結のタイミング
金融機関が名義人の死亡を知った場合に口座は凍結されますが、一般的に銀行では「遺族からの連絡があったとき」に名義人の死亡を知ることになります。その時点から口座は凍結され、銀行での相続手続きが完了するまではお金を動かせなくなります。 しかし、「口座が凍結される前に」と故人の口座からATMで出金するといった行為は避けるべきです。まだ凍結されていない「へそくり口座」についても同様です。「遺産分割時のトラブルのもと」はできるだけ少なくしておきましょう。 なお、お葬式代の工面などでどうしてもお金の準備が必要な場合には、「預貯金の仮払い制度」を利用できます。
遺産分割前に故人の口座のお金を使う必要があるときは
前述のとおり、原則として、遺産分割の手続きを終えるまでは金融機関から故人のお金を引き出すことはできませんが、人が亡くなる際にはお葬式代をはじめとして何かと費用がかかります。 どうしてもすぐにお金を工面する必要がある場合には、「預貯金の仮払い制度」を利用するとよいでしょう。これは2019年の相続法の改正により新設されたものであり、簡単に言えば「遺産分割前でも故人の預貯金を単独の相続人が引き出せる」制度です。 引き出せる金額の上限は「相続開始時の預貯金残高×1/3×法定相続分」かつ「金融機関ごとに150万円まで」です。引き出した金額については、その後の遺産分割において、 引き出した相続人が取得するものとして調整することになります。 制度の詳細や利用方法については、故人の預金のある金融機関に確認するようにしましょう。