発達障害の人が仕事で「しくじる」のにはワケがある…本人も周囲も困らせる「5大特性」
「5大特性」から生じる職場での困りごと
これらの5つの特性が原因となって、職場では、次のような困りごとが頻発しました。 ・頼まれた仕事をやらずに放置する ・資料のデータや数字を間違える ・締切を守れず会社の予定を狂わせる ・勘違いが多く指示どおりに動けない ・重要な資料や契約書、現金などを置き忘れる ・攻撃的な人のターゲットにされる ・自分のミスではないことまで責任を押しつけられる ・必要以上に自分を責めてパニックになる ・いつも仕事のことで頭がいっぱいで気が休まらない ・ストレスと過労で体調を崩す ・クビになったり、辞めざるをえなくなったりする 発達障害とうまくつき合っていくために重要なのは、「これらの困りごとは脳機能の特性によって引き起こされることが多い」と知ることです。 たとえば、あなたがもしも上司に頼まれたことをすぐに忘れてしまうのだとしたら、それはあなたの脳が「覚えておくことが苦手」という特性を持っているからです。決してあなたのわがままや怠慢でそうなっているのではありません。発達障害は先天的なものであって、風邪のようにやがて治るものではないのです。 したがって、「自分はなんて忘れっぽいんだ。忘れないようにしよう」と頑張ってもあまり意味がありません。「覚えるのが苦手」という脳の特性を受け容れたうえで、「覚えなくていい仕組み」を作るほうがより建設的です。
「タスク管理」を「紙1枚」で
それに気づいた私が、自分の特性をカバーする仕組みをExcelのシートに追加していった結果できあがったものが、「紙1枚」です。研修やセミナーなどでは、「タスク詳細シート」と呼んでいます。それぞれの項目が、「抜け漏れ」「先送り」「過度な自責傾向」「段取りが苦手」「集中しづらさ」をカバーできるよう考えられています。 この記事を読んでいる人の多くは、仕事に対して何らかの悩みや葛藤がある人かもしれません。 でも、ひと口に「仕事」と言っても、ケアレスミスが多い、自分にばかり怒る上司がいる、メンタルが弱くてすぐに傷つく、毎朝憂鬱で遅刻してしまう、など悩むポイントは人それぞれです。「どうしてタスク管理なの?」「そもそもタスク管理って何?」と思いますよね。 「タスク管理」とは、やるべきことの優先順位や所要時間を考慮して、期限内に終わるよう適切に管理することです。要は、「やるべきことを、やるべきときまでにやる」ための考え方や仕組みのようなものです。 こう書くと、「タスク管理」は数あるビジネススキルの1つにすぎないという印象を受けるかもしれません。しかし、私はこの「タスク管理」ができるようになったことで、発達特性からくる仕事上の困りごとをかなりカバーできるようになりました。ミスや締切の遅れだけでなく、職場の人間関係やメンタルの不調についてもです。 「タスク管理」は、「普通に」仕事ができる人たちと私が同じ土俵に上がるために最も効果的な方法でした。 * * * 後編記事〈発達障害の人がやりがちな「抜け漏れ」「先送り」「段取りミス」を〈紙1枚〉で解消する「すごい方法」〉では、この「紙1枚」でできる「タスク管理」の技法をについて、より詳しくご紹介します。
小鳥遊(タスクデザインラボ代表)