“世界的名優”ソン・ガンホとピョン・ヨハンの演技合戦が本格化 見えてきた“サムシク”と“サン”の本当の顔<サムシクおじさん>
映画「パラサイト 半地下の家族」(2020年)や「ベイビー・ブローカー」(2022年)で世界を魅了した“世界的名優”ソン・ガンホのドラマデビュー作として話題を呼んでいるドラマ「サムシクおじさん」の第10、11話が6月5日に配信され、サムシクおじさん(ガンホ)とキム・サン(ピョン・ヨハン)の足並みが、再びずれ始めた。それぞれの言葉は本心なのか、それとも…。ガンホとヨハンの卓越した演技力があってこその、“本音と建て前”“嘘と真実”が入り混じった人物像が光った。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】華やか!少女時代ティファニー演じる“レイチェル” ■キム・サンを信じ続けるサムシクおじさん 「サムシクおじさん」は、1960年代の激動の韓国を舞台にした骨太のヒューマンドラマ。「誰もが1日に三食(サムシク)を当たり前のように食べられる国に」という野望のために暗躍する政治フィクサー“サムシクおじさん”ことパク・ドゥチルと、豊かな国を夢見るエリート青年キム・サンがタッグを組み、政治の世界で奮闘する姿を描いている。 大統領選を首尾よく進めるため、投票箱を盗むという暴挙まで実行しようとしていたサムシク。一方、その頃軍部では、チェ・ハンリム将軍(リュ・テホ)を立てたクーデターの動きが具体化していた。サムシクは、大統領選の妨げになっては困るとチェ将軍の行方を捜すが、見つけることができない。誰かが匿っているようだ。 チェ将軍を“父親代わり”と慕うサンがどうにも怪しいが、サムシクは自分がほれ込んだサンを疑うことができない。サンは、逐一状況を報告して「どうしましょう」とアドバイスを求めてくるほど自分を慕っているのだから。 いつもならすべてのものを疑い用心深くことを進めるサムシクだが、この時は違った。周囲から「すべてキム・サンが仕組んだんだ」と言われても取り合わず、「なぜキム・サンをかばう?」ととがめられても「あの人はそんな人じゃない。純粋な人だ」と、最後にはまるで自分に言い聞かせるように口にした。サンを信じたいと願い続けるけなげなサムシクが、哀しくもいとおしい。 ■サンが見せた意外な一面 一方、11話では周囲の証言からサンの本当の動きも透けて見えてきた。サムシクの前ではクーデターに無関係を装っていたが、実はチェ将軍を匿っていた張本人。経済的に豊かな国を実現する“国家再建事業”を進めるためなら、どんな手でもいとわない…サンもまた、そんな一面を隠し持っていたのだ。 そして、サムシクおじさんの計画から逸れた動きをしていることを指摘されると、ニヤリと笑い「高速道路があるのに下道を選ぶ人がいますか?」と、打算的な一面ものぞかせた。より効率のいい手段があるのならサムシクの計画にはこだわらない、というわけだ。サムシクがいくらほれ込んでも、サムシクはあくまで“おじさん”。サンが“父親代わり”と慕うチェ将軍を超える存在には、なり得ないのかもしれない。 “状況によって裏表を使い分ける野心家のサムシクと、どんなときも誠実で純粋なサン”――。そんな2人の人物像が、第4週で一気に反転して見えてきた。だが、それがこれまでのサムシクとサンのキャラクターに矛盾することなく、むしろ奥行きを与えている。初回からガンホが積み上げてきた愚直なほどに人間くさいサムシク像、そして、ただの堅物ではなく熱いハートも持ったヨハンのキム・サン像があればこそだ。 サムシクとサンのタッグに繕いようのないほころびが露見した第4週。だが、2人とも目指すゴールは同じ、三食おなかいっぱい食べられる豊かな国。残り5話、2人は再び足並みをそろえて前進することができるのだろうか。 「サムシクおじさん」(全16話)はディズニープラスのスターで独占配信中。続く第5週の第12、13話が6月12日(水)に、最終週の14話から最終話(16話)までが19日(水)に配信される。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部